持続可能な農業・サプライチェーンの構築

持続可能な農業・サプライチェーンの構築

畑からの製品づくりによる技術革新とサプライヤーとの協働により、持続可能なグローバルサプライチェーンを構築し、価値提供領域を拡大していきます。

関連する方針

取組みテーマと主な指標(KPI)

世界に通用する
独自の農業モデルの進化

生産者と協働で高品質な原料を作り上げ、共存共栄の関係を強固にすることで、高品質原料の安定調達と持続可能な農業の発展に貢献していきます。

茶産地育成事業

伊藤園は、農業に深く関わる企業として安心・安全で高品質な緑茶原料の安定調達と国内農業の課題解決の両立に取組むため、1976年に「茶産地育成事業」を立ち上げました。この取組みとして、各地の茶農家から茶葉を全量買い取りする“契約栽培”と、荒廃農地などを大規模な茶園に造成して茶葉を生産する“新産地事業”を推進しています。

契約茶園の看板画像
“契約栽培”(1976年4月〜)

各地の茶農家との間で、リーフ(茶葉・ティーバッグ)製品や「お〜いお茶」などの飲料製品に使用する茶葉を生産していただき、それらを伊藤園が全量買い取りする取組みです。

“新産地事業”(2001年1月〜)

地元の事業者などが主体となって、自治体等と協力しながら荒廃農地などを大規模な茶園へ造成することをサポートするとともに、当社から茶葉の生産に関する技術やノウハウを全面的に提供し、生産された「お〜いお茶」専用茶葉などを全量買い取りする取組みです。

新産地事業の展開地区

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<外部評価>
  • 2015年6月、日本経済新聞社主催「第3回日経ソーシャルイニシアチブ大賞 企業部門賞」
  • 2016年3月、一般財団法人食品産業センター主催「第37回食品産業優良企業等表彰 農林水産大臣賞」受賞
  • 2017年10月、「第5回プラチナ大賞」大賞および経済産業大臣賞受賞

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茶産地育成事業での支援・成果(国内)

新産地事業では、これまでに農業技術部員が技術指導に携り、各茶産地の茶園や工場などに赴き、農業生産法人や茶農家の方に、茶葉生産・栽培方法などの技術・ノウハウを提供してきました。茶産地育成事業で生産された茶葉は原則として100%商品(※)に使用されており、伊藤園の原料調達における主要事業となっています。
(※)ドリンク商品 :「お~いお茶」ブランド等
リーフ商品 :「お~いお茶緑茶ティーバッグ」、「お~いお茶プレミアムティーバッグ宇治抹茶入り緑茶」、「ワンポット抹茶入り緑茶ティーバッグ」等

オーストラリアでの
「茶産地育成事業(新産地事業)」

「世界のティーカンパニー」に向けて、良質な茶葉の安定的な確保が必要と考え、日本とは季節が逆で風土が似ているオーストラリアのビクトリア州に、1994年、「ITO EN AUSTRALIA PTY. LIMITED」を設立し、茶産地育成事業(新産地事業)を開始いたしました。日本と同様に、茶生産家と「ITO EN AUSTRALIA PTY. LIMITED」が協力して茶葉栽培の技術的な工夫を施し、社員が現地を定期的に訪問することで信頼関係を築きながら取組んでいます。2004年には荒茶工場を建設し、荒茶の生産を本格化させました。ここで生産された茶葉は、主に伊藤園の特定保健用食品や「グローバルブランド」製品の原料等として使用しています。

オーストラリアTB工場の写真

また、新たな取組みとして、緑茶ティーバッグ生産工場の建設投資を行い、2020年から稼動しています。これは、オーストラリアでの緑茶や抹茶ブームに応えるもので、現地向けの緑茶ティーバッグ「MATCHA GREEN TEA "TRADITIONAL"(AUSTRALIAN GROWN LEAVES)」を製造します。これにより、オーストラリアでの茶葉の栽培から加工、商品化までの一貫生産を実現させ、地産地消を訴求したオーストラリア固有の国産食品振興キャンペーンである「Australian Made, Australian Grown Campaign : AMAG」への対応が可能となり、地域経済への貢献を図ります。
今後も、将来の緑茶飲料需要の増加に対応するため、年間を通した安定的な茶葉の調達を目指します。

減農薬、有機栽培に向けた技術開発

海外市場でのさらなる需要拡大を見込んで、減農薬や有機栽培の技術開発に取組んでいます。お茶の生育に必要な窒素肥料の代わりとして、茶殻に含まれる窒素成分の活用を開始しています。
飲料製品の製造過程で委託先工場から排出された茶殻を堆肥化し、契約産地で使用することで循環型農業を推進するとともに、農薬を使わずに蒸気で防除や除草ができる蒸気防除機の実用化を進め、環境配慮の茶農業と日本茶の海外輸出拡大に貢献します。

図:循環型農業 茶殻堆肥の活用

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「茶産地育成事業」における生物多様性の取組み

図:規模の拡大とあわせた、「茶産地育成事業」の進化
(2024年4月期の数値実績)

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GAP認証取得による製品の品質と
安全性

伊藤園では、茶産地育成事業におけるGAP認証(※)の取得および維持・運用の取組みを推進しています。対象となる原料調達先の農業法人・契約農家に、食の安全や環境保全の規格であるGAP認証の取得を促し、茶産地育成事業では100%認証を取得しています(2024年4月末時点)。GAP認証取得農園で生産された茶葉は、「お~いお茶 緑茶」などの原料茶葉として使用し、安心・安全に配慮した製品づくりの徹底に取組んでいます。

(※)食の安全や環境保全に取組む農場に与えられる認証。世界基準である「グローバルGAP」のほか、日本GAP協会が展開する「JGAP」「ASIA GAP」などがあり、ここではこれら3つの認証のうちいずれかを取得した農園を指します。

製品の安全・安心品質の
追求と環境負荷低減

食品を取り扱う伊藤園グループにとって品質と安全性は、お客様に対する責任(顧客責任)の最重要事項として認識しています。製品の設計、原料、包装材から製造、流通に至るまで、厳しい品質管理体制を確立し、製品の安全性確保に努めています。

一貫した品質管理体制

伊藤園グループは、「伊藤園グループ人権方針」「伊藤園グループサプライヤー基本方針」「伊藤園グループ調達方針」「伊藤園グループ品質方針」を策定し、これらの方針に基づき、製造委託先を含め関係者と協働で、社会・環境の両面に配慮した供給体制の確立に努めています。品質管理面では、国内のドリンク・リーフ製造工場において、品質管理・品質保証規格ISO9001や食品安全規格FSSC22000などの国際認証を取得し、関連規則やガイドラインなどに沿った品質管理体制を構築・運用しています。
原料段階における残留農薬検査は伊藤園品質管理部門で行い、製品段階における、香味や機器分析、微生物などの検査は、伊藤園品質管理部門と製造委託工場の双方が行っています。
製品は伊藤園の品質管理基準(飲料製造および茶葉製造ガイドライン)を満たした工場で製造し、日々情報を共有するとともに、工場担当者との品質会議(委託先など関係者との合同による会議)を行うことにより、安全・安心な製品づくりを徹底しています。また、すべての飲料製品について放射線量測定器での検査やモニタリングを行うことで、放射性物質の検査体制を確立しています。
物流面でも、各委託先業者に対し伊藤園が定める輸送・保管などに関する項目について定期的に評価監査や会議を行うことで情報を共有、安全・安心を徹底し、委託先企業と協働でサプライチェーンマネジメントを構築しています。

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伊藤園の品質管理(主な検査)
図:伊藤園の品質管理

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製品の安全性の確保

伊藤園では、国産緑茶原料のトレーサビリティシステムにおいて、茶生産農家の栽培管理記録、特に農薬に関する部分を重点的にチェックしています。また、原料サプライヤーおよび製造委託先に対する監査(品質監査、トレース監査)や、ISO9001、FSSC22000の適正運用を実施するなど、製品の安全性確保に努めています。

野菜飲料の海外産原料の品質管理

伊藤園では、世界各地の原料調達先から受理する「品質保証書」による確認と、生産地を訪問し、栽培方法、加工工程、品質管理などの確認を行い、法令に適合した安全な原料を使用しています。いずれも仕入れ担当者や品質管理担当者が現地に赴き、使用農薬の実態や品質管理体制のチェックをしています。

製品ライフサイクルを通じた環境負荷の低減

伊藤園では、製品ライフサイクルを通じた環境負荷の低減に取組んでいます。

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お客様満足向上の取組み

伊藤園は、2009年度にISO10002(苦情対応マネジメントシステムの国際規格)の自己適合を宣言しました。この規格では、お客様満足を実現するため、さまざまな活動において継続的な改善を図り、PDCAサイクルに基づく苦情対応の枠組みを構築、運用することが求められています。伊藤園では、「お客様満足のための基本方針」に基づき、お客様の声を積極的に企業経営に活かし、より良い製品づくりや営業マナーの向上に役立て、経営理念の「お客様第一主義」を実践することで、お客様満足を高めています。

お客様満足のための基本方針

お客様満足向上のための推進体制
図:お客様からのお問い合わせの関連部署や全役員へのフロー

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お客様相談室

持続可能なサプライチェーンの構築

サプライチェーンマネジメント

伊藤園グループは、「伊藤園グループ人権方針」「伊藤園グループサプライヤー基本方針」「伊藤園グループ調達方針」「伊藤園グループ品質方針」を策定し、これらの方針に基づき、製造委託先を含め関係者と協働で、社会・環境の両面に配慮した供給体制の確立に努めています。

品質・安全・安心の追求、法令遵守、公正な調達、人権、労働基準や環境への配慮など、さまざまな課題に対応するため、既存事業のサプライチェーン全体で調査票による定期的なリスク評価を実施しているほか、取引先会議にて優良事例等の共有化を図り、改善活動に取組んでいます。新規取引にあたっては、当社が定める方針や基準等の説明を行うとともに、コンプライアンスをはじめとして環境汚染や人権、労働衛生など各種項目についてリスクがないか評価し、必要に応じて現地監査を行って活動状況の確認を実施しています。

品質管理においては、安全で信頼性を有する製品の提供、法令などの遵守、国際標準を活用した製品の安全性の確保に努めています。国内のドリンク・リーフ製造工場において、品質管理・品質保証規格ISO9001や食品安全規格FSSC22000などの国際認証を取得し、関連規則やガイドラインなどに沿った品質管理体制を構築・運用しています。製品は伊藤園の品質管理基準を満たした工場で製造し、定期的な工場監査やサプライヤーとの品質会議を行うことにより、安全・安心な製品づくりを徹底しています。また、海外製造工場においても、国際認証あるいは国際認証に準ずる品質と安全管理の徹底を進めています。

物流面でも、お客様に安全・安心な製品を持続的にお届けするため、「ホワイト物流」を推進しています。各委託先企業に対し、伊藤園が定める輸送・保管などに関する項目について定期的に監査票による評価を実施し、取引先会議にて情報を共有することで、社会・環境課題に配慮した効率的な物流体制の構築に共同で取組んでいます。
伊藤園グループは、原料調達から製造・物流工程を通して安全・安心を徹底し、委託先企業と協働で持続可能なサプライチェーンマネジメントを構築しています。

サプライヤーとの
コミュニケーション

製造委託先、原料調達先、資材メーカー等のサプライヤーとの情報の共有や意見交換、今後の方針の確認などのコミュニケーションを通じて、パートナーシップの強化とサプライチェーン全体でのサステナビリティ強化を目指しています。

サプライヤーとは品質会議を定期的に行い、品質の向上や安全・安心な製品づくりの徹底に取組んでいます。品質会議においては、当社グループのマテリアリティや「伊藤園グループ人権方針」「伊藤園グループサプライヤー基本方針」「伊藤園グループ環境方針」など関連方針の浸透を図り、気候変動、水資源などの環境課題や人権、労働安全衛生などの社会課題について説明し、課題対応の好事例等を共有しています。また、当社製品の製造に関わるGHG排出量・水使用量などの環境関連データを報告いただく等、「伊藤園グループ中長期環境目標」の達成に向けた進捗管理と環境負荷低減への取組みを働きかけています。
そのほか、環境および人権の項目を取り入れた供給者調査の実施や、委託先製造工場付近の水源地保全活動など、社会・環境課題解決へ協働で取組んでいます。

写真:品質会議の様子

品質会議の様子

水源地の保全活動

物流効率向上の取組み

安全・安心な製品を安定的にお届けするため、物流の効率化に積極的に取り組んでいます。物流効率向上の取組みを通じて、環境負荷の低減や安定供給の実現、物流課題の改善を目指しています。