マテリアリティ

伊藤園グループは、外部環境の変化と社会課題を認識して、2022年に「伊藤園グループにとっての重要度」と「ステークホルダーにとっての重要度」の双方向から評価した7つのマテリアリティを特定しました。その後、気候変動による影響の広まり、グローバルサプライチェーンの混乱や人権問題の顕在化、ウェルビーイングへの関心の高まりなど、急激な変化が起きています。
このような変化とグローバル化を成長戦略とする中期経営計画(2025年4月期~2029年4月期)を踏まえてマテリアリティ(重点テーマとKPIを含む)の見直しを行いました。「健康創造企業」として、心身・社会・地球環境の3つの健康に資する価値を創造する「食生活を通じたウェルビーイングの実現」、「持続可能な農業・サプライチェーンの構築」、「地球環境の健康」、「地域社会との共創・つながりの深化」と経営基盤を強化する「人権の尊重」、「多様な人財と全員活躍」、「グループガバナンス」の7つのマテリアリティを特定しました(2025年3月)。
伊藤園グループ全体で中期経営計画とマテリアリティに取組み、サステナビリティ経営を推進していきます。

マテリアリティのイメージ図

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  • 食生活を通じたウェルビーイングの実現
    素材の研究と製品のおいしさ・健康性、ホスピタリティを通じて、人々と社会のウェルビーイングに貢献する、新たな食習慣の創出・浸透を目指します。
  • 持続可能な農業・サプライチェーンの構築
    畑からの製品づくりによる技術革新とサプライヤーとの協働により、持続可能なグローバルサプライチェーンを構築し、価値提供領域を拡大していきます。
  • 地球環境の健康
    事業活動を通じた脱炭素化や資源循環等の環境課題解決に取組み、多様なステークホルダーと共有価値を創造していきます。
  • 地域社会との共創・つながりの深化
    地域・コミュニティの課題解決に貢献し、新しい価値の提供とビジネス機会の創出に繋げていきます。
  • 人権の尊重
    グローバルサプライチェーンを通じた人権リスクの最小化を図り、ステークホルダーからの信頼獲得に努めます。
  • 多様な人財と全員活躍
    多様な人財が“自立的に成長”し、“ビジョンに向かって挑戦し続ける”組織を構築し、事業戦略の重点分野で活躍する人財を育成・拡充していきます。
  • グループガバナンス
    人口動態、法規制、紛争、サステナビリティの重要性、情報セキュリティ等の外部環境変化による経営への影響を背景に、ガバナンス体制の整備を行いグループ全体でのリスクの最小化と機会の最大化を図っていきます。

マテリアリティの
特定プロセス

  1. 社会課題の抽出
    外部環境の変化と社会からの要請や期待、お客様の重要課題等の観点から、国際的な情報開示基準、ESG評価項目、SDGsなどを参照し、社会課題を抽出しました。
    ※参照した情報開示基準等:
    GRIスタンダード/SASBスタンダード/ESG評価(FTSE、MSCI)/CDP/SDGs/ISO26000
  2. 重要度評価
    伊藤園グループでは、抽出した社会課題を、ステークホルダーにとっての重要度と伊藤園グループにとっての重要度の双方向から評価するダブルマテリアリティを採用しています。外部有識者、投資家、社外取締役、グループ各社の取締役・執行役員、部署長を対象にアンケートを行うなど、マテリアリティ候補を評価しました。
    重要課題の評価マップ

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  3. ステークホルダーとの対話
    アンケート調査等を経たマテリアリティ候補に関して、見直しのポイントや経営課題、伊藤園グループへの期待等について、経営陣と外部有識者によるステークホルダーダイアログを行い、ご意見をいただきました。
  4. マテリアリティの特定
    上記のプロセスを経て、取締役会において審議を行い、経営課題として取組み、中期経営計画の重点戦略を具体化させるマテリアリティと重点テーマを特定しました。

マテリアリティの見直し・特定にあたり

7つのマテリアリティと指標(KPI)

中期経営計画の重点戦略を具体化させるマテリアリティの重点テーマと評価指標(KPI)を設定し、PDCAで管理・評価を行っています。指標(KPI)は、取組み状況に応じて定期的に見直しをしていく予定です。

マテリアリティ 重点テーマ 取組み/指標(KPI) 貢献するSDGs
食生活を通じた
ウェルビーイング
の実現
多様化するライフスタイルに合わせた飲用機会の提供と心身の豊かさへの貢献
  1. 素材(緑茶、抹茶、コーヒーなど)によるウェルビーイングへの貢献を、産官学連携の研究を深化させて、可視化する
    • 大学、研究機関との共同研究プロジェクトの実施
      年間3件
    • 健康機能性に関する、査読付き論文の発表
      年間3報
  1. 国内・海外研究成果の発信と社会実装へ向けた取組みの推進
    • ウェルネスフォーラム等を通じた情報発信
      年間2回以上
    • 自治体との連携で健康課題解決や食文化啓発を推進
      年間3件
    • 自治体との連携活動成果報告会
      年間1回
  1. 海外において、新たな価値、新たな飲み物の選択肢として、素材由来の無糖茶、非加糖製品のおいしさ、健康性を広げる
    • 「お~いお茶」の海外における販売数量伸長率
      年平均24%以上(2024~2028年度)
    • 海外向け茶文化啓発プログラムの開発と実施(海外で活躍できるティーテイスターの育成 ほか)
  1. 食育活動や産地体験、コーヒーなどによる社会的つながりの促進
    • 茶文化の継承・茶市場の活性化のために、食育活動によるお客様との接点人数
      年間40万人(小中学生対象のセミナーを含む)
    • タリーズ:5つの最高を追求し、1杯のコーヒーを通じて体験価値を感じていただくとともに、地域社会に根ざしたコミュニティーカフェとなるため、コミュニティーカフェ大賞・コーヒースクールの実施継続
持続可能な
農業・サプライ
チェーンの構築
茶生産者との協働による
「茶産地育成事業」の進化
  1. 茶産地育成事業 展開面積拡大
    • 2030年度 2,800ha
  1. 減農薬、有機栽培等のサステナブル農業の推進と海外基準原料増産の両立
    • サステナブル農業の推進
    • 海外対応原料(緑茶・抹茶)の供給量
      2028年度 200%向上(抹茶は300%向上) *対2024年度
  1. 技術・ノウハウの進化による海外現地生産拡充
    • 海外茶産地における荒茶原料生産技術の確立
原材料(茶葉、その他)の
持続可能な調達
  1. 原料(茶葉、コーヒー、野菜果汁)の持続可能な調達
    • 「茶産地育成事業」でのGAP認証100%の維持とグローバル化への対応
    • コーヒーのサステナビリティ関連の国際団体の第2者認証取得を進め、責任ある持続可能な調達を確立
    • 緑茶原料のトレース100%維持、その他原料のトレースの深化
サプライヤーエンゲージメントの深化と安全・安心な品質の追求
  1. 国内製造工場(飲料、リーフ)の食品安全の国際認証取得
    • 工場監査 実施率100%
    • 食品安全の国際認証 取得率100%
  1. 海外製造工場において、国際認証あるいは国際認証に準ずる品質、安全管理徹底
    • 海外製造工場(飲料、リーフ)の、食品安全の国際認証に準ずる工場監査 実施率100%
  1. 環境変化に対応した供給者評価の実施(国内・海外)
  1. 国内品質会議の継続開催、グローバル品質会議開催
    • 年間7回以上
  1. 国内製造委託先との環境・品質会議の開催
    • 年間1回以上
持続可能な
物流システムの構築
  1. 物流効率の向上
    • 車1台あたりの積載向上
      飲料 10.4t以上、リーフ 12.6㎥以上
    • 正パレット取引推進による物流委託先の作業時間
      2万時間以上削減 *対2023年度
  1. モーダルシフトの推進、鉄道、フェリー活用による輸配送力強化
    • 乗務員労働時間 400時間以上削減
    • CO2排出量(JR貨物) 25t-CO2以上削減 *対2023年度
  1. 他社協業の拡充
    • 重軽混載およびラウンド輸配送による、トラック使用台数およびCO2排出量の削減
地球環境の構築 気候変動対応
  1. GHG排出量削減(対2018年度)(※)
    • 2030年度
       Scope1、2 50%削減
       Scope3   30%削減
    • 2050年度
       ネットゼロ
  1. 再生可能エネルギーの使用(※)
    • 2030年度 再生可能エネルギー使用比率 75%
  1. 電動車:EV、HV、PHV、FCV水素車の導入(※)
    • 2030年度 電動車導入比率 25%
持続可能な容器包装
  1. ペットボトルのリサイクル素材等使用率
    • 2030年度 100%(全ペットボトル製品)
  1. 容器包装、販促物、資材における3Rの推進と環境配慮素材への切替推進
水資源
  1. 飲料製造時の水使用量削減
    • 2030年度までに水使用量原単位 3.0㎥/kl以下

*原単位:生産1klあたりの水使用量
*自社および協力工場における自社専用ライン
  1. 飲料製造工場の水源涵養活動の実施
    • 各工場の取水量に対する水源涵養率 2030年度までに100%以上 

*自社工場、協力工場の一部
自然資本/生物多様性の保全
  1. TNFD提言に基づいたグローバル指標の検討、
    サステナブル農業の推進
資源循環/廃棄物削減
  1. 食品リサイクル率向上
    • 伊藤園 年間90%以上維持
    • タリーズコーヒージャパン 2030年度 60%
  1. 茶殻・むぎ茶殻・コーヒー殻の有効活用
    • 茶殻、むぎ茶殻、コーヒー殻を活用した製品の上市
      年間10件以上
  1. タリーズコーヒージャパン 廃棄物削減
    • 店内マグカップ、グラスの利用推進
    • リユースカップシステムのテスト導入
    • タンブラーの利用促進
  1. 化石燃料由来のプラスチック使用量の削減
    • 伊藤園:自販機ダミープラスチック使用量
      2028年度 50%削減(対2018年度)
    • タリーズ:プラカップ提供アイスドリンクの紙カップ切替推進、バイオマス25%配合ポリ袋の軽量化
地域社会との共創・
つながりの深化
各国・地域の社会課題
解決に向けた事業機会の創出
  1. 食と健康(肥満や過体重、栄養バランスなど)および、社会・環境課題に対するステークホルダーとの共創
    • 海外進出国・地域のステークホルダーとの対話により、社会・環境課題を把握する
    • 課題解決の取組み計画を策定し、実行
事業活動を通じた
地域や協力者との協働
  1. 地域社会の健康課題解決を目指す、研究成果の発信と社会実装へ向けた取組みの推進
    • 自治体との連携で健康課題解決や食文化啓発を推進
      年間3件
    • 自治体との連携活動成果報告会
      年間1回

  2. *地域社会と共に行うマテリアリティ「食生活を通じたウェルビーイングの実現」の取組みとKPIを一部再掲
  1. Green Tea for Good「お茶で世界を美しく。」など、各地域の自治体やステークホルダーとの協働
    • 森林、水、生物多様性をはじめとする保全活動を実施
      環境活動目標:参加者 年間2,500名
人権の尊重 バリューチェーンにおける
人権の尊重
  1. 当社グループの事業およびサービスを通じて人権侵害を引き起こす、または加担する可能性のある人権リスクを把握(特定・評価)し、
    人権デューデリジェンス計画を、2025年度までに策定
  1. サプライヤーに対する人権アセスメントの実施
  1. 原料産地や生産現場での人権デューデリジェンスの実施
    • 2028年度までに5回以上
  1. 苦情処理メカニズムの周知および対象範囲の拡大
    優先度の高い対象:伊藤園グループが影響を行使できるサプライヤーおよび従業員
  1. 伊藤園グループ経営層、従業員への人権啓発教育
    • 年間3回以上
多様な人財と
全員活躍
2025年度中に経営戦略と連動する人財戦略を検討し、重点テーマとKPIを見直し・策定(2026年度に開示予定)
以下、現状の取組みテーマとKPIを記載
多様な人材の育成と
活躍推進
  1. 従業員エンゲージメントスコア 2026年度 4.2以上(6点満点中)
  1. 女性管理職比率 2026年度 10%
  1. 男女間賃金格差(正規雇用労働者を対象、男性を100とした場合) 2026年度 80%
    上記のうち勤続10年未満 2026年度 100%
  1. 男性育児休業取得率 2026年度 50%
健康経営の推進
  1. 健康経営優良法人(ホワイト500)の維持
グループ
ガバナンス
グループガバナンス体制の構築
  1. 次世代の経営人材(役員、執行役員、管理職)の育成
  1. 伊藤園グループ主要会社の経営者およびCXOの育成計画の策定
  1. 将来の経営人材を視野に、若い世代を育成する取組みを推進
グループリスクマネジメント強化
  1. 経営リスクの特定、対応策検討
未来予測、事業機会の特定、戦略の見直し
情報セキュリティ/
顧客プライバシーの保護
  1. 情報セキュリティガバナンス体制の構築
    • 情報技術やDXの利活用とリスクについて、役員、従業員の理解を深める
ステークホルダーとの
エンゲージメントの充実化
  1. ステークホルダーダイアログを実施し、経営改善につなげる
    • 年間1回以上
  • (株)伊藤園および連結子会社が対象です。

7つのマテリアリティと指標(KPI)PDF

  • 2023年度の取組み実績(見直し以前のマテリアリティ・KPI)