マテリアリティの見直し・特定にあたり

2024年度に実施したステークホルダーダイアログ
(有識者との意見交換会)

外部環境の変化と、グローバル化を成長戦略とする中期経営計画などを踏まえ、 2022年に特定したマテリアリティの見直しについて、2025年2月に有識者とのステークホルダーダイアログを実施しました。

有識者一覧

  • 皆川 芳嗣 氏

    株式会社農林中金総合研究所 理事長
    一般社団法人日本農福連携協会
    会長理事

  • 松原 稔 氏

    りそなアセットマネジメント株式会社
    チーフ・サステナビリティ・オフィサー
    常務執行役員 責任投資部担当

  • 髙村 ゆかり 氏

    東京大学未来ビジョン研究センター
    教授

※所属・役職名は、開催日時点

社内参加者:

代表取締役社長 執行役員 
本庄 大介

代表取締役副社長 執行役員 営業統括本部長
CDO(チーフ・デジタル・オフィサー) 
本庄 周介

取締役 専務執行役員 生産本部長
CSO(チーフ・サステナビリティ・オフィサー) 物流本部担当 
中野 悦久

取締役 専務執行役員 管理本部長
CHRO(チーフ・ヒューマン・リソース・オフィサー)
コンプライアンス・内部統制担当 
平田 篤

執行役員 国際本部長 長期経営計画委員会委員長 
中嶋 和彦

※所属・役職名は、開催日時点

マテリアリティの見直しにあたり、中期経営計画の成長戦略であるグローバル化に欠かせない、ガバナンスやリスクマネジメント、人的資本といった経営基盤の強化、「健康創造企業」としての取組みなどについて、以下のようなご意見をいただきました。

  • グローバル企業に向けた、伊藤園グループとしてのガバナンス体制・リスクマネジメントの在り方
    • 皆川 氏
      外部環境の変化の中、グローバル企業を目指すのであれば、企業や経営者は旧来型のガバナンスを見直し、伊藤園グループも変革が求められます。多様性への対応やサステナビリティ経営の推進、グループでのリスクマネジメント体制が必要です。
    • 髙村 氏
      グローバルなルール設定が進む中で、国や地域ごとに異なる規制が存在し、それらにどう対応するかが課題だと考えています。グループリスクマネジメントの体制や、将来的な経営上のリスクと機会の識別など、変化に対して迅速に対応できる仕組みに期待しています。
    • 松原 氏
      次世代経営人材育成および外部登用は、多くの企業で共通して取り上げられるテーマです。経営人材の育成には最低でも2年以上かかると言われているため、早めの着手と、不足人材は外部登用の検討も必要であると考えます。
    • 皆川 氏、髙村 氏
      マテリアリティ特定のプロセスなどの経営戦略の検討に若い世代の従業員が参画することが望ましいです。
      グローバル化という大きな変革期にある伊藤園グループにとって、人材育成、将来の経営人材育成のためにも重要だと考えます。
  • 人的資本
    • 髙村 氏
      伊藤園グループのグローバル化における重要な担い手となる人的資本を増やし、支えていく仕組みをガバナンスによっていかに構築していくかに期待しています。
    • 松原 氏
      人的資本は、企業の成長にとって大変重要な資本です。人材を資源(使うもの)ではなく資本(増やすもの)として、人的資本をいかに増やしていくかが重要です。また、従業員のみならず取引先を含む全ての関係者を、伊藤園グループの成長を支える「ワークフォース」として捉え、そうした人的資本をいかに増やしていくか、具体的に議論を進めていくことを望みます。
    • 皆川 氏
      海外展開にはリスクが伴う一方で、機会が存在します。国内外でグループシナジーを高めるために、伊藤園グループの企業理念等の価値観を共通化するプロセスや可視化の方法の検討が必要です。今後の海外人材の育成に向けた取組みに注目しています。
  • 人権尊重の取組み
    • 皆川 氏
      グローバル化において、製品製造過程における児童労働や、調達面での環境・人権尊重に問題が発生しないよう注意が必要になります。特に、海外で調達・販売する場合には慎重さが求められます。
      国内においては、外国人労働者への人権尊重の取組みは、茶産地の持続可能性を高める側面があると考えます。このような国内での経験は、海外でも活かすことができる重要な参考例となり、国内の茶産地とのつながりの実績は、海外での取組みにおいて大きな強みにもなると期待しています。
    • 髙村 氏
      人権尊重の取組みは、サプライチェーンだけでなく、従業員のウェルビーイングにも影響することから、従業員の人権や権利の保障は重要です。グローバル展開においては、国際的な人権保障や対応がスタンダードであり、伊藤園グループのマテリアリティの取組みとして必要です。
    • 松原 氏
      人権は重要課題であり、サプライチェーン、人材、昨今の過栄養や貧栄養等の人々の健康課題解決についても、人権問題と関連して議論される傾向にあるため、統合的な取組みに期待します。
  • 伊藤園グループへの期待
    • 松原 氏
      マテリアリティは特定することが目的ではなく、特定後の実装、推進が重要です。また、伊藤園グループのマテリアリティは、心身、社会、地球環境の「3つの健康」に分類されています。グループの事業を通じてどのように社会課題を解決し、「3つの健康」に関わる価値を提供していくのかといった、伊藤園グループが考える企業価値と、各取組みが生み出す提供価値との因果関係を可視化し、具体的に示していくことを期待しています。
    • 髙村 氏
      外部環境が変化していく中でも、「健康」は伊藤園グループの立ち位置を明確にする要素です。健康を通じてお客様に価値を提供し続けていく、これは伊藤園グループのマテリアリティの基盤ではないかと考えます。
    • 皆川 氏
      私の好きな言葉である「We must change to remain the same.(変わらずに生き残るためには、自ら変わらなければならない)」は、企業にも当てはまります。伊藤園グループも変革に向けてチャレンジしていただきたいと思います。

今回のステークホルダーダイアログを通じて、いただいたご意見をもとに、2025年3月の取締役会の審議を経て7つのマテリアリティ(重点テーマとKPIを含む)を特定しました。

マテリアリティ