株式会社伊藤園(社長:本庄大介 本社:東京都渋谷区)は、国立大学法人奈良国立大学機構奈良女子大学(以下、奈良女子大学)との共同研究により、軽度脱水時(※1)の水分補給における炭酸および電解質(※2)の影響について検証を行い、電解質を添加した炭酸水が、軽度脱水からの体液回復を効率的にサポートする可能性を示しました。本研究成果は、学術雑誌「Nutrients」に原著論文が2026年6月8日に掲載されました。
研究のポイント
- 日常生活に近い「自由摂取条件(※3)」において、炭酸水は、水と比較して軽度脱水からの体液回復率が低くなることが示された。
- 電解質(ナトリウム等)を添加した炭酸水は、炭酸水と比較して尿量の増加が抑制され、水と同等以上の効果的な体液回復をサポートすることが示された。
研究の背景
近年、健康志向の高まりを背景に、無糖炭酸水の需要は拡大しています。また、脱水からの回復には、水分に加えて電解質(特にナトリウム)を補給することが重要であることが知られています。一方で、軽度脱水からの体液回復における無糖炭酸水の影響については、これまで十分に検証されていませんでした。そこで今回、奈良女子大学と当社の研究チームは、炭酸および電解質の有無が体液回復および水分摂取行動に及ぼす影響を明らかにすることを目的に、日常生活に近い飲用環境を反映した「自由摂取条件」において評価を行いました。
研究の内容・成果
健常な成人男女15名を対象に、室温25℃の環境下で、20分間の足踏み運動を10分間の休憩を挟んで3回実施し、軽度脱水状態を誘導しました。その後、水、炭酸水、電解質添加水、または電解質添加炭酸水を自由に摂取させ、摂取後3時間にわたり、水分摂取行動および体液回復の指標を評価しました。その結果、運動により体重の約1%に相当する水分不足が誘導されました。その後の炭酸水の自由摂取では水の自由摂取に比べて飲水量が低下する傾向が認められ(図1)、最終的な体液回復率は他の飲料と比較して低くなりました(図2)。一方、電解質を添加した炭酸水では、飲水量は水に比べてやや低下するものの、尿量の増加が抑えられることで、体液の保持が高まり、最終的な体液回復率は水および電解質添加水と同程度に達することが示されました。この結果から、炭酸水への電解質の添加が体液保持に寄与し、日常的な飲用条件においても体液回復をサポートする可能性が示されました。

今後の展開
本研究により、電解質を添加した炭酸水は、日常的な軽度脱水状態や運動後の水分補給といった場面において、効率的な体液回復をサポートする可能性が示唆されました。炭酸による爽快感と水分保持を両立できる、日常的な水分補給シーンにおける新たな選択肢として、電解質を添加した炭酸水の利用が期待されます。
今後は、暑熱環境下における水分補給提案や、日常的な健康維持に資する製品開発への展開を検討していきます。
当社は、お茶をはじめとする自然由来素材の価値を科学的に解き明かす研究を、長年にわたり継続してきました。今後も、基礎研究を大切にしながら、幅広い研究領域に取組み、人々の健やかな暮らしに資する知見の創出を目指してまいります。
―論文情報―
タイトル:
Effects of Carbonated and Electrolyte-Added Water on Body Fluid Regulation and Ingestive Behavior During Ad Libitum Rehydration Following Mild Hypohydration.
掲載誌:
Nutrients
URL: https://doi.org/10.3390/nu18121846
著者:
Akira Takamata*, Natsumi Kosugi, Nanako Sakagawa, Aoi Takahashi, Fuka Nishino, Mio Nishimaki, Yasushi Tanaka, Makoto Kobayashi, Chihiro Nitta, Moeno Aihara, Yuka Hasegawa, Motoko Kobayashi, Takanobu Takihara
鷹股亮、小杉夏実、坂川菜々子、高橋葵、西野楓香、西牧未央、田中泰史、小林誠、新田千尋、相原萌乃、長谷川優花、小林素子、瀧原孝宣
―用語説明―
(※1)軽度脱水時:体重の約1%程度の水分が失われた状態。日常生活や軽い運動後に生じ得る脱水レベル。
(※2)電解質:ナトリウムなど、水分バランスや体液調節に関与するミネラル成分
(※3)自由摂取条件:被験者が摂取量やタイミングを制限されず、飲みたいときに飲みたい量を摂取する条件。