株式会社伊藤園(社長:本庄大介 本社:東京都渋谷区)は、国立大学法人鹿児島大学(研究代表者・教授:医学部 牧迫飛雄馬)との共同研究として実施した、高齢者を対象とした試験において、継続的な緑茶カテキンの摂取と日常生活で実施可能な運動の併用が日常生活に必要な筋力(※1)の維持に有効となる可能性を確認しました。本成果は、超高齢社会における重要な課題である「身体的フレイル」(※2)の予防に向けた新たな知見を示すものであり、国際学術誌「Archives of Gerontology and Geriatrics」に原著論文が2026年4月に掲載されました。
研究のポイント
- 継続的な緑茶カテキンの摂取と運動の併用により、加齢に伴う筋力低下を抑制する可能性が示された。
- 週1回のストレッチや自重トレーニングなどの運動と、2~3杯程度の緑茶カテキンの摂取という日常生活で実践しやすい条件での効果が確認できたこと。
- 緑茶摂取群では、プラセボ(※3)群と比較して膝伸展筋力の維持・向上が確認された。
- 日常生活動作(立ち上がり・歩行など)に関連する筋力維持への寄与が示唆された。
研究の背景
日本は世界でも有数の超高齢社会を迎えており、加齢に伴う筋力や身体機能の低下である「身体的フレイル」(※2)は、要介護状態へ進行するリスク因子であり、社会的に重要な課題となっています。当社はこれまで、鹿児島大学と連携し、フレイルの予防などに着目した研究を継続的に推進してきました。こうした取組みの中で、緑茶カテキンの摂取が身体機能に及ぼす影響について、高齢者を対象としたヒト介入試験でその有効性を検証しました。
研究の内容・成果
本研究では、以前に比べて歩く速度が遅くなってきたと感じる方、日常生活で筋力の衰えを感じる60歳以上の方を対象に試験を実施しました。参加者は、地域の健康づくりの活動の場において、週1回30~40分程度のストレッチや自重筋力トレーニング運動、ならびに月1回60分程度の複合運動(※4)を中心とした運動教室に参加しました。
24週間の試験期間中は、緑茶カテキンを含む食品(1日あたりカテキン量613 mg、うちガレート型カテキン388.8 mg)、または緑茶カテキンをほとんど含まない食品(1日あたりカテキン量28.6 mg、うちガレート型カテキン15.4 mg)を半年間摂取しました。
その結果、緑茶カテキンをほとんど含まない食品を摂取した群(プラセボ群)では、階段の昇降や立ち上がり動作など日常動作に必要な筋力(膝伸展筋力)が試験開始前と比較して低下したのに対し、緑茶カテキンを含む食品を摂取した群(緑茶摂取群)では、試験開始前と比較して筋力が増加しました(図1)。

図1 膝伸展筋力の変化率(※5)
今後の展開
本研究により、緑茶カテキンの摂取と日常生活で実施可能な運動の併用は、加齢による筋力低下の抑制に寄与する可能性が示されました。今後は、緑茶カテキンが筋肉に及ぼす効果の作用機序の解明や、緑茶カテキンによる筋肉への効果を介した健康増進に関する研究をさらに進めていきます。また、これらの知見をもとに、日常的な健康維持に資する製品開発への展開を検討していきます。
当社は、お茶をはじめとする自然由来素材の価値を科学的に解き明かす研究を、長年にわたり継続してきました。今後も、基礎研究を大切にしながら、幅広い研究領域に取組み、人々の健やかな暮らしに資する知見の創出を目指してまいります。
―論文情報―
タイトル:
Effects of catechin-enriched green tea combined with exercise on physical performance and muscle mass in community-dwelling older adults: A cluster-randomized, placebo-controlled trial
掲載誌:
Archives of Gerontology and Geriatrics
著者:
Hyuma Makizako, Daijo Shiratsuchi, Yuto Miyake, Kento Tabira, Mana Tateishi. Shoma Akaida, Hiroki Nishi, Manami Fukumori, Yoshitake Baba, Makoto Kobayashi, Takanobu Takihara
―用語説明―
(※1)立ち上がり動作や歩行、階段の昇降など日常生活の基本動作に関わる膝伸展筋力
(※2)加齢による身体の衰えのことです。健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体的機能等の低下がみられる状態のことを指しますが、適切な治療や予防策を行うことで要介護状態への進行を回避できる可能性があります。
(※3)本臨床試験では、緑茶カテキンをほとんど含まない食品を用いています。
(※4)バランストレーニングや弾性バンドを用いた抵抗トレーニングなど
(※5)(試験後の筋力)÷(試験開始前の筋力)×100で算出した値。100を超えると増加、下回ると低下したことを示す。