株式会社伊藤園(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長 執行役員:本庄大介、以下伊藤園)と株式会社ツムラ(本社:東京港区、代表取締役社長CEO:加藤照和、以下ツムラ)は、共同研究により漢方製剤の製造工程において発生する生薬残渣(※1)を活用した「生薬リサイクル紙」の開発に成功したことをお知らせいたします。伊藤園の独自技術「茶殻リサイクルシステム」を生薬残渣に応用し、ツムラグループはサーキュラーエコノミーの構築に向けて一歩前進することができました。今後も社会課題をともに解決するべく、飲料メーカーと医薬品メーカーという異業種それぞれの強みを活かした取り組みを検討してまいります。

生薬リサイクル紙について
生薬リサイクル紙は、生薬残渣を紙原料に混ぜて製造した紙のことで、普段使用する紙と比べて質感や強度、色合い、香りが独特であり、和紙に近い風合いとなります。さまざまな生薬残渣を利用するため、製紙時期によって紙の風合いが変わることも特徴の一つです。また、紙原料に生薬残渣を混ぜることで、パルプ使用量や木材由来原料の削減にもつながります。今後は、生薬リサイクル紙の製品をはじめとするアップサイクル品(※2)にZanCycle(ザンサイクル)マークを使用し、さまざまな取り組みに活かしてまいります。
(※1)生薬残渣:漢方製剤の製造工程において、生薬を抽出した後に残る残渣のことです。抽出液は遠心分離機で濾過された後、濃縮工程へ送られ、最終的に製品になりますが、この時に分離された部分が生薬残渣となります。
(※2)アップサイクル:廃棄予定だったものに手を加えて、新たな価値を生み出し別の製品として生まれ変わらせることです。
異業種連携による生薬リサイクル紙の開発経緯について
ツムラグループは、サステナビリティビジョン「自然と生きる力を、未来へ。」のもと、漢方バリューチェーンを通じて持続可能な人間・社会・地球環境の実現を目指しております。また、伊藤園グループも心身の健康、社会の健康、地球環境の健康といった3つの健康価値を創造し、「健康創造企業」をミッションに掲げていることから、両社でサステナビリティ活動に関する情報交換を行ってまいりました。
そうした中、「人・社会・地球環境のwell-beingに貢献したい」という両社の考え方が合致したことで、2022年度より異業種連携による共同開発を開始し、伊藤園の独自技術「茶殻リサイクルシステム」を応用することで生薬残渣を利用したアップサイクル製品「生薬リサイクル紙」の開発に至りました。
伊藤園は、「お~いお茶」などの茶系飲料の製造過程で排出される“茶殻”(年間約59,000トン)の一部を、日用品や工業製品の原材料に有効利用する独自技術「茶殻リサイクルシステム」を2001年に確立しております。従来、茶殻は堆肥や飼料としてリサイクルしておりましたが、茶殻に含まれるさまざまな機能性を活かした付加価値のある代替原料として活用の幅を広げ、これまでに約100種類もの茶殻を配合したアップサイクル製品を開発しております。
伊藤園「茶殻リサイクルシステム」について
ツムラグループでは、漢方製剤を製造する過程において、現在、年間約38,000トンの生薬残渣を排出しており、これまでも堆肥化や火力発電所のバイオマス燃料化、一部有償化にて100%リサイクルをしてまいりました。漢方製剤の需要拡大に伴い、さらなる生産量の増加が見込まれる中、「生薬残渣の利活用」はツムラグループにとってサーキュラーエコノミー構築への重要課題の一つであり、今回の生薬リサイクル紙開発は課題解決の第一歩となりました。なお、先ほどご紹介した生薬リサイクル紙は、2025年4月から当社従業員の名刺に採用しており、新たに9月には封筒も制作予定です。封筒につきましては、色や材質が異なる3種類を開発し、その中から最適な候補を選定中です。
ツムラグループでは、生薬リサイクル紙の展開を通じて、さらなる環境負荷低減・リサイクル社会の実現に貢献するとともに、循環型社会の創出に向け、さまざまな取り組みを進めてまいります。
ツムラ「サステナビリティについて」
異業種連携に際して
(写真左から)ツムラ取締役Co-COO 杉井 圭、伊藤園取締役 専務執行役員 中野 悦久
ツムラ 取締役Co-COO 杉井 圭コメント
伊藤園様独自の茶殻利活用技術を生薬残渣に応用させていただき、社会課題の解決に向けた大きな一歩となりました。業種の枠を超えたご支援に心より感謝申し上げます。今後は残渣の利活用に加えて他の共通課題にも双方向での協働を広げるとともに、サーキュラーエコノミーの構築に向けた取り組みを強化してまいります。
伊藤園 取締役 専務執行役員 中野 悦久コメント
当社の独自技術がツムラ様の課題解決に貢献できたことを大変嬉しく思います。自然由来の製品を主たる事業としている点、川上から川下までのバリューチェーンの各段階で様々な取組みを行っている点など、ツムラ様と当社の親和性が高く、今後も両社のもつそれぞれの強みを生かして新たな価値の創造を行いたいと思います。