日本大学医学部との共同研究による茶カテキン配合飲料とコレステロール低下剤の併用試験結果について

株式会社伊藤園(社長:本庄大介 本社:東京都渋谷区)の中央研究所は、日本大学医学部の松井輝明先生との共同研究を行い、茶カテキン配合飲料とコレステロール低下剤であるプラバスタチンを併用した場合に有害事象は認められず、コレステロールを低下させる効果があることを、ヒトを対象とした臨床試験で確認しました。
この試験結果の詳細を、11月19日(土)から今池ガスビル(愛知県名古屋市)で開催される「第18回 日本未病システム学会学術総会」で発表いたします。

≪ 経緯 ≫
これまでに緑茶に含まれるカテキン類、特に『ガレート型カテキン』のコレステロール低下作用および体脂肪低下作用を明らかにし、「体脂肪が気になる方」「コレステロールが高めの方」向けの、2つの健康表示をもつ特定保健用食品「2つの働き カテキン緑茶」を製品化しました。
一方で近年、脂質代謝異常の患者の増加に伴い、プラバスタチンなどのコレステロール低下剤を服用される方も増加しています。これら医薬品と特定保健用食品を併用した際の安全性と有効性に関する情報も必要であるため、茶カテキン配合飲料とプラバスタチンの併用による安全性と有効性を評価する試験を行いました。

 

≪ 研究内容 ≫
脂質異常症と診断されプラバスタチンを継続投与されている20歳以上の男女25人(男性8人、女性17人、平均年齢62.8歳)を対象に、日本大学医学部臨床研究審査委員会の承認を得て、日本大学医学部消化器肝臓内科にて2010年11月から2011年6月の間に非盲検試験を実施しました。
被験者は医師より処方されたプラバスタチン10mgを1日1回朝食後に服用し、茶カテキン配合飲料(茶カテキン1本あたり197mg含有)を1日2本、朝食または昼食と夕食の際に1本ずつ毎日12週間飲用しました。
試験期間中に問診と血液検査により、茶カテキン配合飲料とプラバスタチンの併用の安全性と有効性について評価しました。

 

≪ 結果 ≫
5人が除外基準に抵触したため、20人(男性6人、女性14人、平均年齢62.1歳)で解析を行いました。
肝機能障害の指標であるトランスアミナーゼ(AST、ALT)などの安全性の指標に有意な変化は見られませんでした。試験前(飲用開始1カ月以上前)のLDL(悪玉)コレステロールは平均173 mg/dLであり、プラバスタチンの服用で茶カテキン配合飲料飲用開始前には153 mg/dLまで低下していました。さらに、3カ月間の茶カテキン配合飲料とプラバスタチンの併用で有意に低下しましたが、基準値(70~140mg/dL)以下への低下は見られませんでした(グラフ①)。

(※)p値:結果が偶然の産物であるかを示す確率。p値が0.05(5%)未満であれば結果は偶然ではないと考え、有意な差があると解釈する。

総コレステロールも有意に低下しましたが、基準値(150~220 mg/dL)以下への低下は見られませんでした(グラフ②)。
アポリポタンパク質Bも有意に低下し(p <0.01)、HDL(善玉)コレステロールは飲用中に上昇する傾向が見られました(p =0.08)。

以上の結果より、茶カテキン配合飲料とプラバスタチンを併用しても有害事象は認められず安全であることを確認しました。また、プラバスタチンのコレステロール生合成阻害作用とガレート型カテキンのコレステロール吸収抑制効果により、コレステロールが低下することが推察されました。

当社はお茶を中心とした食品を通じ、幅広く美容や健康との関連について研究を進めております。未知の可能性を秘めているさまざまな有効成分の研究とともに、その活用方法について、今後も提案し続けてまいります。