フェカリス菌(殺菌体)入り乳性飲料摂取による善玉菌の割合増加、便通改善効果を確認

「第16回 腸内細菌学会」にて発表

株式会社伊藤園(社長:本庄大介 本社:東京都渋谷区)の中央研究所は、フェカリス菌(殺菌体)入り乳性飲料の継続的な摂取による善玉菌の割合増加、便通改善効果について、ヒトを対象とした臨床試験で確認しました。この試験結果の詳細を、6月14日(木)から神戸市産業振興センターで開催される「第16回 腸内細菌学会」で発表いたします。

≪経緯≫
ヒトの腸内には数百種類の菌(腸内細菌)が、合計で約100兆個いるといわれています。これらの菌は、善玉菌と悪玉菌、さらに中間的な菌が微妙な関係を保ちながら、種類ごとに集団を形成していて、腸内細菌叢(そう)と呼ばれています。善玉菌には、腸内環境改善作用(便通改善作用など)や免疫力を高めることによる感染防御作用、発ガン抑制作用、アレルギー症状の改善作用などが報告されています。このことから、健康を維持するためにも、善玉菌を優勢にして、より良い腸内環境にすることが重要だとされています。
また、近年、乳酸菌のうちフェカリス菌などの一部の菌は加熱殺菌処理などにより殺菌体となっても、その菌体成分が直接あるいは腸内細菌叢を介して有益な効果を発揮することが明らかとなってきました。
そこで、フェカリス菌(殺菌体)入り乳性飲料を継続的に摂取することによる善玉菌の割合増加、便通改善効果を期待し、臨床試験を実施しました。

≪研究内容≫
今回の試験は、民間の研究機関の株式会社オルトメディコのサポートにより、ヒトを対象とした臨床試験を行いました。20~39歳の便秘気味な日本人男女24名(以下、被験者)に、フェカリス菌(殺菌体)やオリゴ糖を含まない対照飲料群(以下、プラセボ群)と、オリゴ糖を含むフェカリス菌(殺菌体)入り乳性飲料2タイプの飲料群(フェカリス菌1000億個の低用量群、フェカリス菌1兆個の高用量群)に8名ずつ無作為に分け、2週間、午前中に1日1本(280 ml)摂取していただきました。試験飲料摂取の前後に腸内細菌叢の検査、排便評価などを行いました。

≪結果≫
フェカリス菌低用量群および高用量群にて、善玉菌である Bifidobacterium(ビフィドバクテリウム) の占有割合が摂取前と比較して摂取2週後、有意に増加しました。善玉菌である Bifidobacterium(ビフィドバクテリウム) の変化量は、フェカリス菌高用量群でのみプラセボ群と比較して有意に増加しました。また、便形スケールはフェカリス菌低用量群および高用量群にて摂取前と比較して摂取2週後、有意に改善しました。このことから、フェカリス菌(殺菌体)入り乳性飲料(オリゴ糖含む)を摂取することで腸内環境が改善すること、またフェカリス菌の摂取量を増加させると、この効果はより顕著になることが明らかとなりました。

善玉菌(Bifidobacterium(ビフィドバクテリウム))の割合増加について

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便形スケールの減少による便通改善効果

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今後は、フェカリス菌(殺菌体)とオリゴ糖をそれぞれ単独で配合した乳性飲料を摂取した場合と、両方配合した乳性飲料を摂取した際の効果の検証やメカニズム解明に向けてさらなる研究を進めてまいります。
また、フェカリス菌(殺菌体)入り乳性飲料には、花粉症症状緩和効果も当社にて確認しています(「薬理と治療 (JPT) Vol. 40 No. 2 2012)」(ライフサイエンス出版))。
当社では、おいしさはもちろん、安全性や機能性など、食に対する関心がますます高くなるなかで、さまざまな素材の可能性を追究すべく、今後も研究を行ってまいります。