茶農業の技術開発

伊藤園が取組む茶農業の技術開発

伊藤園は茶産地育成事業を通じて、農業技術に携わる社員が各茶産地の茶園や工場などに赴き、農業生産法人や生産家の方に茶葉生産や栽培方法などの技術とノウハウを提供しています。技術開発にあたっては、自社で技術目標を定めるとともに技術開発と普及に向けたロードマップを策定し、持続可能な茶農業に貢献する技術の普及を目指しています。

技術開発目標

  • 有機栽培技術の構築 循環型農業と海外輸出の拡大 2001年に確立した「茶殻リサイクルシステム」を応用した茶殻の完熟堆肥化や蒸気防除機の実用化を進めています。
  • IT技術、省力化技術 雇用の創出や就農者の若年化 後継者育成や新規参入時の課題に貢献する、AI画像解析技術を用いた技術開発などを進めています。
  • 複合経営による通年雇用 茶農業の経営安定化 茶の閑散期に大麦若葉など他の農作物を栽培することで通年雇用を実現する複合経営の提案などを行っています。

茶農業の技術開発と
普及に向けたロードマップ

ロードマップ

技術確立に向けた現在の取組み

  • 茶殻の肥料化
  • 蒸気防除機の実用化
  • AIによる管理作業最適化
  • 摘採時期の判断

複合経営の提案に向けて

  • 茶の閑散期に他の農作物生産
  • 荒茶工場の汎用化

COLUMN

有機栽培技術の取組み

海外市場でのさらなる需要拡大を見込んで、減農薬や有機栽培の技術開発に取組んでいます。お茶の生育に必要な窒素肥料の代わりとして、茶殻に含まれる窒素成分の活用を開始しています。飲料製品の製造過程で委託先工場から排出された茶殻を堆肥化し、契約産地で使用することで循環型農業を推進するとともに、農薬を使わずに蒸気で防除や除草ができる蒸気防除機の実用化を進め、環境配慮の茶農業と日本茶の海外輸出拡大に貢献します。

IT技術、省力化技術の取組み

AIによる画像解析で、茶葉の摘採時期の判断や荒茶の品質推定ができる技術を共同開発し、試験運用を開始しました。茶葉の摘採時期や荒茶の品質評価は、生産者の長年の経験から得られるノウハウや、専用機器で分析して見極める方法が一般的ですが、本技術は摘採前や荒茶加工された茶葉をスマートフォンで撮影するだけで、簡便に判断・推定することが可能です。正確性や実用性を検証し、2024年の新茶摘採から契約産地での本格展開を目指しています。技術支援で茶農業の課題解決に寄与し、持続可能な農業を推進します。