ニュースリリース

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平成25年

2013年6月25日

緑茶抹の摂取により高齢者の認知機能低下が
改善される可能性を確認

静岡県立大学薬学部、社会福祉法人白十字会との共同研究内容を
「第54回 日本神経学会学術大会」で発表

株式会社伊藤園(社長:本庄大介 本社:東京都渋谷区)の中央研究所は、静岡県立大学薬学部の山田浩教授と社会福祉法人白十字会・白十字ホームの田熊規方医師との共同研究で、認知機能が低下気味の高齢者において、緑茶抹の摂取により認知機能が改善される可能性を、人を対象とした臨床試験で確認しました。この結果の詳細は、5月31日(金)に東京国際フォーラム(東京都千代田区)で開催された「第54回 日本神経学会学術大会」で発表いたしました。

≪経緯≫
高齢化の進展に伴い、認知症高齢者の数も急速に増加すると予測されており、その対策が緊急課題とされています。認知機能の低下を引き起こす要因はさまざまですが、その一つがアルツハイマー型認知症に代表される神経の変性によるもので、ついで多いのが、脳梗塞や脳出血により脳の血流が障害されることによるものです。
一方、カテキンやテアニンなどの緑茶成分が、神経保護作用をもつことがいくつもの基礎研究で示されており、また緑茶をよく飲む人ほど、認知機能の低下が少ないという疫学調査の結果も報告されています(1)。
さらに当社はテアニンを多く含む緑茶抹を継続的(1年間)に摂取することにより、高齢者の認知機能低下が抑制される可能性を、大学との共同研究により確認し、発表しております(2)。
今回、予備的な研究ではありますが、認知機能が低下気味の高齢者に緑茶抹を3ヶ月間摂取してもらうことにより、認知機能が改善する傾向を観察いたしました。

(1) Shinichi Kuriyamaら、Am.J . Clin. Nutr., 2006; 83: 355– 61
(2) 片岡洋祐ら、日本未病システム学会誌、2009; 15: 17-23

≪研究内容≫
本人または家族から文書同意を得られた老人ホーム入居中の方で、認知機能検査(ミニメンタルステート検査(3))の点数が27点以下の高齢者(平均年齢88歳、男性2名、女性10名)に対して、緑茶抹を1日2g(総カテキン量 約227mg)、3ヶ月間摂取していただきました。緑茶抹の摂取を開始する前と、3ヶ月摂取後に、認知機能検査を行い、血圧、血清脂質、耐糖能異常などの動脈硬化指標、および血中カテキン濃度を測定しました。

(3) ミニメンタルステート検査:認知症のスクリーニングに用いられる検査。30点満点で、23点以下であると認知症が疑われ、24~27点では軽度認知機能障害の可能性がある。

≪結果≫
3ヶ月間、緑茶抹を摂取していただいた12名の内訳は、血管性認知症8名、アルツハイマー病3名、レビー小体型認知症1名で、認知機能検査(ミニメンタルステート検査)の点数の平均値±標準偏差(範囲)は、15.3±7.7点(5点~27点)でした。
3ヶ月間摂取後に同じ検査を実施すると、点数は17.0±8.2点と有意に(p=0.025)増加し、下記の図表に示すように12名中8名の方で改善が見られました。この傾向は、検査の点数が10点以下、11~23点、24~27点のいずれのグループでも認められました。さらに検査のうち、近時記憶を評価する項目で、特に顕著な改善が見られました(p=0.012)。
ほかの評価項目では、血清中性脂肪の値が有意に低下しました(摂取前124±80mg/dL、摂取後103±57mg/dL、p=0.041)。緑茶抹摂取率は99.7%と良好であり、摂取後の血中カテキン濃度は有意に上昇しました(p<0.001)

図:緑茶抹摂取前後での認知機能の変化

以上の結果は、近時記憶の低下が認知症の初期症状であるため、緑茶抹の摂取が認知症の進行を抑制する可能性を示唆していると思われます。今後、より長期間の対照群を用いた試験を行い、このような可能性を検証したいと思います。

当社はお茶を中心とした食品を通じ、幅広く健康との関連について研究を進めております。未知の可能性を秘めているさまざまな有効成分の研究とともに、その活用方法について、今後も提案し続けてまいります。

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