持続可能な国内農業への貢献

持続可能な国内農業への貢献

茶産地育成事業を通じて、高付加価値原料の開発や環境配慮型農業の推進により、国内農業の活性化に貢献します。

取組みテーマと主な指標(KPI)

世界に通用する独自の農業モデルの進化

  • 茶産地育成事業展開面積
    2026年度 2,650ha
    2030年度 2,800ha
  • 有機栽培の生産量
    2026年度 380t
    2030年度 500t

貢献するSDGsとターゲット

  • SDGsロゴ 2 飢餓をゼロに 2.3
    2.4
  • SDGsロゴ 8 働きがいも経済成長も 8.3
  • SDGsロゴ 11 住み続けられるまちづくりを 11.a
  • SDGsロゴ 17 パートナーシップで目標を達成しよう 17.16

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世界に通用する
独自の農業モデルの進化

生産者と協働で高品質な原料を作り上げ、共存共栄の関係を強固にすることで、高品質原料の安定調達と持続可能な国内農業の発展に貢献していきます。

茶産地育成事業

伊藤園は、農業に深く関わる企業として安心・安全で高品質な緑茶原料の安定調達と国内農業の課題解決の両立に取組むため、1976年に「茶産地育成事業」を立ち上げました。この取組みとして、各地の茶農家から茶葉を全量買い取りする“契約栽培”と、荒廃農地などを大規模な茶園に造成して茶葉を生産する“新産地事業”を推進しています。

契約茶園の看板画像
“契約栽培”(1976年4月〜)

各地の茶農家との間で、リーフ(茶葉・ティーバッグ)製品や「お〜いお茶」などの飲料製品に使用する茶葉を生産していただき、それらを伊藤園が全量買い取りする取組みです。

“新産地事業”(2001年1月〜)

地元の事業者などが主体となって、自治体等と協力しながら荒廃農地などを大規模な茶園へ造成することをサポートするとともに、当社から茶葉の生産に関する技術やノウハウを全面的に提供し、生産された「お〜いお茶」専用茶葉などを全量買い取りする取組みです。

新産地事業の展開地区

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<外部評価>
  • 2015年6月、日本経済新聞社主催「第3回日経ソーシャルイニシアチブ大賞 企業部門賞」
  • 2016年3月、一般財団法人食品産業センター主催「第37回食品産業優良企業等表彰 農林水産大臣賞」受賞
  • 2017年10月、「第5回プラチナ大賞」大賞および経済産業大臣賞受賞

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茶産地育成事業での支援・成果(国内)

新産地事業では、これまでに農業技術部員が技術指導に携り、各茶産地の茶園や工場などに赴き、農業生産法人や茶農家の方に、茶葉生産・栽培方法などの技術・ノウハウを提供してきました。茶産地育成事業で生産された茶葉は原則として100%商品(※)に使用されており、伊藤園の原料調達における主要事業となっています。
(※)ドリンク商品 :「お~いお茶」ブランド等
リーフ商品 :「お~いお茶緑茶ティーバッグ」、「お~いお茶プレミアムティーバッグ宇治抹茶入り緑茶」、「ワンポット抹茶入り緑茶ティーバッグ」等

オーストラリアでの
「茶産地育成事業(新産地事業)」

「世界のティーカンパニー」に向けて、良質な茶葉の安定的な確保が必要と考え、日本とは季節が逆で風土が似ているオーストラリアのビクトリア州に、1994年、「ITO EN AUSTRALIA PTY. LIMITED」を設立し、茶産地育成事業(新産地事業)を開始いたしました。日本と同様に、茶生産家と「ITO EN AUSTRALIA PTY. LIMITED」が協力して茶葉栽培の技術的な工夫を施し、社員が現地を定期的に訪問することで信頼関係を築きながら取組んでいます。2004年には荒茶工場を建設し、荒茶の生産を本格化させました。ここで生産された茶葉は、主に伊藤園の特定保健用食品や「グローバルブランド」製品の原料等として使用しています。

オーストラリアTB工場の写真

また、新たな取組みとして、緑茶ティーバッグ生産工場の建設投資を行い、2020年から稼動しています。これは、オーストラリアでの緑茶や抹茶ブームに応えるもので、現地向けの緑茶ティーバッグ「MATCHA GREEN TEA "TRADITIONAL"(AUSTRALIAN GROWN LEAVES)」を製造します。これにより、オーストラリアでの茶葉の栽培から加工、商品化までの一貫生産を実現させ、地産地消を訴求したオーストラリア固有の国産食品振興キャンペーンである「Australian Made, Australian Grown Campaign : AMAG」への対応が可能となり、地域経済への貢献を図ります。
今後も、将来の緑茶飲料需要の増加に対応するため、年間を通した安定的な茶葉の調達を目指します。

減農薬、有機栽培に向けた技術開発

海外市場でのさらなる需要拡大を見込んで、減農薬や有機栽培の技術開発に取組んでいます。お茶の生育に必要な窒素肥料の代わりとして、茶殻に含まれる窒素成分の活用を開始しています。
飲料製品の製造過程で委託先工場から排出された茶殻を堆肥化し、契約産地で使用することで循環型農業を推進するとともに、農薬を使わずに蒸気で防除や除草ができる蒸気防除機の実用化を進め、環境配慮の茶農業と日本茶の海外輸出拡大に貢献します。

図:循環型農業 茶殻堆肥の活用

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「茶産地育成事業」における生物多様性の取組み

GAP認証取得による製品の品質と
安全性

伊藤園では、茶産地育成事業におけるGAP認証(※)の取得および維持・運用の取組みを推進しています。対象となる原料調達先の農業法人・契約農家に、食の安全や環境保全の規格であるGAP認証の取得を促し、茶産地育成事業では100%認証を取得しています(2023年4月末時点)。GAP認証取得農園で生産された茶葉は、「お~いお茶 緑茶」などの原料茶葉として使用し、安心・安全に配慮した製品づくりの徹底に取組んでいます。

(※)食の安全や環境保全に取組む農場に与えられる認証。世界基準である「グローバルGAP」のほか、日本GAP協会が展開する「JGAP」「ASIA GAP」などがあり、ここではこれら3つの認証のうちいずれかを取得した農園を指します。