日本臨床心理士会の「お茶っこ会」へのご意見と宮城県での「お茶っこ会」の取り組みについて

日本臨床心理士会(東日本大震災心理支援センター)
事務理事 奥村茉莉子氏、総務部長 角充宏氏のご意見
(2012年8月取材 聞き手 伊藤園取締役 笹谷秀光)

日本臨床心理士会(東日本大震災心理支援センター)にて、「お茶っこ会」についてのご意見をいただきました。

伊藤園:当社は全国に200の拠点を持ち、地域密着型の営業活動を行っています。岩手県には盛岡、水沢、釜石の3拠点がありましたが、釜石支店は東日本大震災で被災しました。宮城県でも4拠点があり、一部被災しました。被災しつつも震災当初から各避難所にいち早く飲料をお届けすることができました。そのような中、当社がこれまで各地で実施してきた「お茶セミナー(おいしいお茶のいれ方講座)」を、東北地方でご提供できないかと考え、2011年11月より岩手県陸前高田市の仮設住宅を中心に実施してきました。当社の「お茶っこ会」のような活動をどのように思われますか。

奥村氏:良い活動だと思います。社員のみなさまにとっては準備が大変でしょう。社員のみなさまがそれだけのエネルギーを投入しておられることそのものも、相手先には十分想いが伝わることになるのではないでしょうか。

伊藤園:当社の「お茶っこ会」は効果があるのでしょうか。

奥村氏:震災当初、お話を聞いてあげましょうとか、お絵かきをしましょうとか一時はやった時期がありましたが、実はそのような活動はあまり効果があがらない面もありました。お茶のように普通の生活の中にあるものを取り上げることは、互いに感覚を共有し合えて、気持ちがほっとできる効果があると思います。

伊藤園:「お茶っこ会」では実際に急須でお茶をいれていただき、お茶をいれる温度の違いで味がどのように変わるかなどを、体験していただいています。

奥村氏:ぬくもりや香り、味など五感に訴える点もいいです。さらには紙コップでなく、湯飲みを用いているところもほっとできる点ではないでしょうか。

伊藤園:お茶が身近なものであるところがいいのでしょうか。

奥村氏(写真右)と角氏(同左)

奥村氏:そうですね。みんなに囲まれているという安心感の中で、自分も参加してお茶をいれるという点もいいですね。
こうした体験は人としての全体性を回復する体験として、心身にとってとても良い効果につながる気がします。 日本臨床心理士会では東日本大震災心理支援センターの活動としてさまざまな取り組みをしてきました。 宮城県の南三陸町では仮設住宅で懇談のできるカフェを運営し、石巻市では地元の保健師さんと連携して仮設住宅の集会所でのリラックス法の伝達などの支援活動をしています。また、学校にスクールカウンセラーを派遣する文部科学省の事業に協力して人の派遣調整も行っています。
南三陸町では、仮設住宅の方がお茶を飲みながら話をしたりする活動を毎日行っているので、伊藤園と共同での取り組みもできることでしょう。

日本臨床心理士会及び宮城県臨床心理士会との共同開催「お茶っこ会」現地レポート(宮城県南三陸町 平成の森仮説集会所 2012年10月28日開催)

2012年10月28日に宮城県南三陸町平成の森仮設集会所にて開催された「お茶っこ会」には、44名の住民の方々と7名の臨床心理士が参加し、当社の「ティーテイスター制度」の有資格者が講師として、「おいしいお茶のいれ方」をご紹介しました。参加した住民の方からは、「お茶を飲むと安心してとてもほっとする」「お茶を飲みながらゆったりした時間を過ごすことができた」「とても楽しかった。元気が出た」といった声が上がりました。また、臨床心理士が住民の方々と一緒にお茶を楽しみながら、世間話を通じて会話を弾ませ、住民の方々が自然な雰囲気の中で日頃抱えているさまざまな悩みなどを語れる心理支援の場になりました。

日本臨床心理士会及び宮城県臨床心理士会との共同開催「お茶っこ会」

関係者からのお話・ご意見

宮城県臨床心理士会会長 高橋 典子氏

宮城県臨床心理士会会長 高橋 典子氏

〜開会時ご挨拶〜
私たちの心には羽がついているということを聞いたことがありますか?過去を懐かしむ時、未来を思う時に、羽を使うのだそうです。今日はこの「心の羽」に少し休んでもらって伊藤園のお茶っこ会を皆さんの五感をしっかり使って楽しんでください。

〜ご意見〜
今日はとてもいい雰囲気の2時間でした。たくさんの笑顔にあふれた会場を見ると、伊藤園の「お茶っこ会」と当会の日頃の活動には接点も多く、今回の協同企画は一定の手応えがあったのではないでしょうか。ぜひまた開催していただきたいです。話したいとか聞いてほしいという潜在的な欲求は、年齢を問わないものです。例えば、子育て中の母親が参加しやすいような保育スペースを設けたり、緑茶だけでなくジャスミンティーなど香りを楽しむとか、子どもも含めた幅広い年齢層向けのアイデアがあってもよいのではないでしょうか。

宮城県臨床心理士会副会長 菊池 陽子氏

〜ご意見〜
開催前の準備から関わらせていただきましたが、会場から出てこられる方々が「おいしかったー」とおっしゃって、帰って行かれてよかったです。本日は「心の羽」の休まるいい時間を作っていただきありがとうございます。宮城県臨床心理士会ではこれからも、母子支援や学童支援など住民のみなさまのニーズに沿っていきたいと考えているので、今後の展開についてもぜひご相談させていただきたいです。

高橋会長(写真右から2人目)、菊池副会長(同左から1人目)

臨床心理士 山田 明子氏

〜ご意見〜
お茶を飲むということを介して、地域のみなさまと一緒に穏やかな時間を過ごせてよかったです。今回参加した臨床心理士は母子支援チームのメンバーで、今後お母さんとお子さんが楽しめるような企画や、おじいちゃん、おばあちゃんがお孫さんと一緒に 楽しめるような企画を検討しているので、伊藤園と一緒に計画させていただけるとありがたいです。
子育て中のお母さんは悩みが多いし、お茶を通じてお母さん同士のつながりもできるといいのではないでしょうか。