主な研究成果

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平成22年

2010年3月25日

茶カテキン含有飲料の機能性胃腸症に対する有用性が
示唆されたことを確認

日本農芸化学会2010年度大会にて発表(3月28日~30日)

株式会社伊藤園(社長:本庄大介 本社:東京都渋谷区)の中央研究所は、消化器医食会(代表幹事:医療法人山下病院名誉院長 中澤三郎先生)との共同研究で、茶カテキンによる機能性胃腸症の自覚症状緩和作用への有用性が示唆されたことを確認し、3月28日~30日に東京大学(東京都文京区)で開催される、日本農芸化学会2010年度大会にて、本結果を発表いたします。その要旨は、以下の通りです。

≪ 経緯 ≫
機能性胃腸症は、胃潰瘍や胃炎といった、はっきりと目に見える器質的疾患(体の組織や細胞などの異常による疾患)がないにも関わらず、胃痛、食後の胃の膨満感、胃もたれなどの上腹部の消化器症状が慢性的に出る病気です。病気の原因としては、高齢化、ストレス社会、運動不足、食生活の欧米化など様々で、また、その症状も一様ではないため、治療法が未だ確立されておらず、罹患された方の社会生活上の障害や医療費の増加が懸念されています。一方、茶カテキンは最近の研究により、胃酸分泌抑制作用、抗菌作用、活性酸素消去作用、コレステロール低下作用、体脂肪低下作用などの様々な機能性が報告されています。
そこで今回、疾病予防の観点から茶カテキンに注目し、茶カテキン含有飲料の機能性胃腸症に対する有用性を検証しました。

≪ 研究内容 ≫
Rome III(ローマスリー)診断基準(※1)を満たす機能性胃腸症の方、及び診断基準を満たさないが医師が適切と認める機能性胃腸症に準ずる方で、本試験の参加に同意した男女38名の被験者を対象に試験が行われました。1本(340ml)当たり茶カテキンを196mg含有し、ガレート型カテキン(エピガロカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、カテキンガレート)の比率の高い茶カテキン含有飲料を摂取する群(茶カテキン群)、または茶カテキンをほとんど含まないプラセボ飲料を摂取する群(プラセボ群)に、被験者を無作為に振り分けました。両群とも、食事の際に1本、1日2本、8週間にわたって試験飲料を摂取しました。また、試験開始時、試験飲料摂取4週後、および8週後にGSRS日本語版アンケート簡略版(※2)を実施しました。

(※1) 機能性胃腸症の診断基準
(6ヵ月以上前から症状があり、最近3ヵ月は下記の基準を満たしていること)
1、以下の項目が1つ以上あること
 a.辛いと感じる食後のもたれ感
 b.早期飽満感
 c.心窩部痛(しんかぶつう)(みぞおちの痛み)
 d.心窩部灼熱感
2、症状の原因となりそうな器質的疾患(上部内視鏡検査を含む)が確認されないこと
(※2) 消化器疾患における日常生活の質(QOL)を評価するもので、15項目からなる消化器症状による日常生活へ及ぼす影響(悪影響)に関する質問表。各質問のスコアは回答に応じて1~7まであり、スコアが高いほど日常生活に悪影響を与えていることを示す。

≪ 結果 ≫
茶カテキン群では、GSRS値(※3)の全項目の平均スコアおよび機能性胃腸症関連4項目(心窩部痛、空腹痛、悪心(吐き気)、膨満感)の平均スコア、機能性胃腸症関連4項目それぞれのスコアで有意な改善が示されました。また、被験者を、食後愁訴症候群および心窩部痛症候群(※4)に分類し比較した結果でも、試験開始前に比べてGSRS値のスコアが低下し、有意な改善が見られました。

(※3) GSRSアンケートのスコア。低いほど症状が緩和していることを示す。
(※4) いずれも機能性胃腸症をさらに細分化したもの。食後愁訴症候群は食後のもたれ感と早期飽満感が主な症状で、心窩部痛症候群は心窩部痛、心窩部灼熱感が主な症状である。

茶カテキン摂取によるGSRS値の全項目および機能性胃腸症関連4項目の平均値の変化
(注)脱落5名、除外基準該当者7名を解析から除外した。

平均値±標準偏差
●・・・プラセボ群(11名)、○・・・茶カテキン群(15名)
摂取開始日との比較 ##:p<0.01

茶カテキン摂取による機能性胃腸症関連4項目のGSRS値の変化

'

平均値±標準偏差
●・・・プラセボ群(11名)、○・・・茶カテキン群(15名)
摂取開始日との比較 #:p<0.05、##:p<0.01
群間の比較 *:p<0.05

茶カテキン摂取による食後愁訴症候群、心窩部痛症候群のGSRS値の変化

'

平均値±標準偏差
食後愁訴 ●・・・プラセボ群(5名)、○・・・茶カテキン群(7名)
心窩部痛 ●・・・プラセボ群(6名)、○・・・茶カテキン群(8名)
摂取開始日との比較 #:p<0.05

茶カテキン摂取による機能性胃腸症関連4項目以外のGSRS値の変化

【胸焼け】

【逆流】

摂取前

4週後

8週後

摂取前

4週後

8週後

プラセボ 

3.5±2.0

3.0±1.5

2.1±1.4#

2.6±2.3

2.3±1.8

1.9±1.2

茶カテキン

3.3±1.5

2.3±1.0#

1.8±0.9##

2.8±1.4

1.9±1.0#

1.6±0.9##

 

【腹鳴】

【放屁】

摂取前

4週後

8週後

摂取前

4週後

8週後

プラセボ

2.5±1.4

1.5±0.7#

1.6±0.9#

2.4±1.3

1.5±0.5#

1.8±0.8

茶カテキン

2.6±1.7

2.2±1.3

1.8±0.9#

1.9±1.4

1.9±1.3

1.7±0.9

平均値±標準偏差
●・・・プラセボ群(11名)、○・・・茶カテキン群(15名)
摂取開始日との比較 #:p<0.05、##:p<0.01

以上の結果より、今回の研究で、茶カテキン並びに茶カテキン含有飲料による機能性胃腸症の改善に対する有用性が示唆されました。
当社はお茶を中心とした食品を通じ、幅広く美容や健康との関連について研究を進めております。未知の可能性を秘めているさまざまな有効成分の研究とともに、その活用方法について、今後も提案し続けてまいります。

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