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第十八回 お〜いお茶新俳句大賞
太陽に似てる妹つゆ明ける
愛媛県 島崎 唯 12歳
いつもよく笑っている妹は太陽みたいです。私が落ちこんでいる時も暗い気分を吹き飛ばしてくれます。そんな太陽みたいな妹の笑顔を見て俳句にしてみました。
あかるく、丸顔の妹なのだろう。「太陽に似てる」という例え方が、全体の印象を、恐らく的確に掴んでいるといえそうだ。自分の妹だから、ほめっぱなしのつもりではなかろうが、その顔や動作を見ると、梅雨明けのような、からりと明るい印象なのだろう。現実にも梅雨が明けたのだが、その気分がぴったりでもあろう。「太陽のような」でなく、「似てる」と表現したところに、身内らしく少し控えめな印象が出ている。
万緑の中にとけこむ青蛙
福岡県 山口 直人 15歳
緑が生い茂っている中に青蛙がとけこんでいて、ぱっと見分からない。大自然に比べたら生き物はちっぽけなものだと思います。夏のイメージをもってもらえたらいいなと思いこの俳句をつくりました。
「万緑」は昔からある季語でなく、中村草田男の「万緑の中や吾子の歯生えそむる」の句から始まった。その緑一色の景の中に、とけこむ青蛙を読んだもの。とけこむといっても、全くの同色ということでなく、緑の色は微妙に違うが、不調和ではないところに着眼して詠んでいる。それは「万緑」という季語そのものに、全部が同色の緑でなく「万」という表現で、それぞれの緑を認めているからといえよう。
石投げて月がちぎれる水鏡
埼玉県 宮地 里枝 17歳
私は月が好きなので、月を使って綺麗なイメージの俳句を作ろうと思いました。湖に月が映っていて、そこに石を投げると水面が割れてこま切れになる様子を思い浮かべながら俳句を作りました。
「水鏡」とは、水面が鏡の働きをして光を反射したり、ものの影を写したりすることをいう。「月がちぎれる」とあるから、水の面に映った月が、石を投げて起こした月光の乱れから、ちぎれたように見えたということだろう。巧く月の影に石がぶつかった場面もあろうが、中心の月面自体に当たらなくても、月光が乱れたことを、このように強調することもあるだろう。「水鏡」を巧く使いこなしている。
改札をくぐって手を振る夏の終わり
神奈川県 尾崎 仁美 19歳
地方に行っている友人が夏休みに地元に戻ってきました。夏が終わり、その友人が地方に帰っていくときの寂しさ、お互いに手を振りあいながら見送ったときのことを俳句にしてみました。
夏の終わりのさびしさを、日常的なちょっとした行動をとらえて、軽いタッチで描いている。無論、手を振っての別れに深刻さはないのだが、季節の別れと重なるので、それなりに心に留まる思いではあろう。「改札をくぐって」という情景描写が、洗練されていて巧い。それによって当事者の心の動きも、さりげなく描けている。若い人同士の雰囲気もよく伝わってくる。
寒鯉の寄り添っている深みかな
長野県 曽根原 幸人 65歳
池をのぞいたときに、いつもより深い場所で寄り添うように鯉が群れていました。氷の下で動かない鯉を見て、寒に耐えているたくましさと生命力の強さを感じとりました。
やや地味ながら、年齢による作品の深さが感じられる。寒鯉(かんごい)といわれる冬の時期の鯉は、じっと水底に沈んで、みじろがぬことが多い。寄り添って沈んでいる鯉は、人間でいえばさながら老夫婦というような具合だが、無理にそう考えなくても良い。たまたま二匹の鯉が、寄り添っている光景である。「深み」というから、あまり明るい光も届くまい。だが、ぬくもりを感じる景である。
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