

日本経済の中枢的役割を担う京阪神地区を支える湖。西は神戸市、南は大阪府岬町まで広く利用され、水道水としての水利用人口は約1,436万人。流域だけではなく、近畿圏の多くの人々が恩恵を受けています。
しかし、流域から流れ込む「汚濁負荷」と湖中の「植物プランクトンの増殖」などの要因で、有機汚濁の指標であるCOD(※)が昭和59年以降、改善されていない状況があります。
※COD:化学的酸素要求量
水中の汚濁物質を化学的に酸化させる時に必要とする酸素の量。
数値が大きいほど水が汚れていることを示します。
※参考:滋賀県「琵琶湖ハンドブック」

琵琶湖周辺には川端(かばた)と呼ばれる独特の文化が今も残っています。これは琵琶湖へ流れる小川を各家庭まで引き込み、さらに湧き水を組み合わせて生活に利用するというものです。小川から家庭へ引き込まれた水は台所の近くを通り、この水の中には鯉が数匹飼われています。水は一年中温度が一定なので、夏はスイカや麦茶を冷やしたり、顔を洗ったり、様々な用途に使われています。
また、そのまま飲料水になるほど綺麗なので、料理に使用したり、食材を洗ったりするのにも使用されます。食器に残っていた残飯を小川の水で洗うと、鯉が残飯を食べてくれて水が浄化されて小川に戻る仕組みになっています。
小川の上流を利用する住人は、下流を利用する住人のことを考えて、なるべく水を汚さないようにするのが「暗黙の了解」。水を大切に使うことがこの地域の住人にとっての常識となっているので、水に関しての争いも起こらないのだそうです。


ヨシは北海道から沖縄までの湖沼や河川の水辺に大群落を形成する代表的な大型抽水植物。4月に出た新芽が、水中の窒素やリンを吸収しながら、わずか2~3ヶ月の間に2m近くにまで成長し、12月中旬~3月下旬の刈り取り時期には4m近くまで伸びます。窒素やリンを吸収したヨシを刈り取ることにより、水中の汚染物質が湖外へ出る。これがヨシの浄化作用で、琵琶湖の富栄養化を防ぐ仕組みになっています。

ヨシ群落には、”水をきれいにする”3つの働きがあります。
- ①富栄養化の要因となる、水中の「窒素」や「リン」を養分として吸い取る。
※「富栄養化」…湖沼等の水中に溶けている窒素・リン等の栄養塩類が多い状態。富栄養化が進むと、植物プランクトン等の
異常繁殖によって赤潮・アオコの発生に繋がります。
- ②ヨシの水中の茎につく微生物や群落の土中の微生物によって水の汚れを分解。
- ③水の流れを弱くし、水の汚れを堆積。

ヨシ群落には多くの魚の卵が産み付けられ、卵からかえった小魚はヨシ群落の中を餌場や隠れ家として育ちます。また、滋賀県には約280種の野鳥が観察されており、多くの野鳥が産卵・生育、そして棲みかとして利用しています。

植物の特徴である”光合成”を行い、二酸化炭素から炭水化物を合成し、大気中からCO2を除去しています。
※出典:図、テキストともに、財団法人 淡海環境保全財団ホームページ【ヨシってな~に】より


琵琶湖周辺のヨシを中心とした抽水植物群落は、琵琶湖本湖に127.9ha、内湖に170.4ha。内湖は琵琶湖岸総延長の3分の1、面積は琵琶湖の0.6%しか占めてませんがヨシを中心とした抽水植物群落の60%が内湖に分布しています。

1953年頃約280haあったヨシ群落は1991年には約130haの面積まで減ってしまいました。
1992年、滋賀県は「滋賀県琵琶湖のヨシ群落の保全に関する条例」を制定し(2002年一部改正)、ヨシの衰退を食い止めることを促進。琵琶湖のエリアにあった保全・育成活動を展開し、水辺域生態系と生物多様性の保全が図られています。
※出典:滋賀県【平成14年 環境白書】より