日本一大きな湖「琵琶湖」を、きれいな湖として守りたい。

約1,450万人が水道水として利用する、琵琶湖の水。

琵琶湖の水を利用している地域

日本経済の中枢的役割を担う京阪神地区を支える湖。西は神戸市、南は大阪府岬町まで広く利用され、水道水としての水利用人口は約1,450万人。流域だけではなく、近畿圏の多くの人々が恩恵を受けています。

府県名 琵琶湖からの給水人口(H25)
滋賀県 1,168,950人
京都府 1,807,760人
大阪府 8,840,928人
兵庫県 2,756,558人
合計 14,574,196人

しかし、流域から流れ込む「汚濁負荷」と湖中の「植物プランクトンの増殖」などの要因で、有機汚濁の指標であるCOD(※)が昭和59年以降、改善されていない状況があります。

※COD:化学的酸素要求量
 水中の汚濁物質を化学的に酸化させる時に必要とする酸素の量。
 数値が大きいほど水が汚れていることを示します。

CODの経年変化

※出典:滋賀の環境2015
※H26.3.31現在

琵琶湖の水を生活水として利用する「川端(かばた)」という文化。

琵琶湖周辺には川端(かばた)と呼ばれる独特の文化が今も残っています。これは琵琶湖へ流れる小川を各家庭まで引き込み、さらに湧き水を組み合わせて生活に利用するというものです。小川から家庭へ引き込まれた水は台所の近くを通り、この水の中には鯉が数匹飼われています。水は一年中温度が一定なので、夏はスイカや麦茶を冷やしたり、顔を洗ったり、様々な用途に使われています。

また、そのまま飲料水になるほど綺麗なので、料理に使用したり、食材を洗ったりするのにも使用されます。食器に残っていた残飯を小川の水で洗うと、鯉が残飯を食べてくれて水が浄化されて小川に戻る仕組みになっています。

小川の上流を利用する住人は、下流を利用する住人のことを考えて、なるべく水を汚さないようにするのが「暗黙の了解」。水を大切に使うことがこの地域の住人にとっての常識となっているので、水に関しての争いも起こらないのだそうです。

川端(かばた)

琵琶湖の水質保全に役立つ「ヨシ(葦)」のはたらき。

「葦(ヨシ)」とは?

ヨシは北海道から沖縄までの湖沼や河川の水辺に大群落を形成する代表的な大型抽水植物。4月に出た新芽が、水中の窒素やリンを吸収しながら、わずか2~3ヶ月の間に2m近くにまで成長し、12月中旬~3月下旬の刈り取り時期には4m近くまで伸びます。窒素やリンを吸収したヨシを刈り取ることにより、水中の汚染物質が湖外へ出ます。これがヨシの浄化作用で、琵琶湖の富栄養化を防ぐ仕組みになっています。

「葦(ヨシ)」イメージ

魚・鳥の棲みか(生態系保全)。

ヨシ群落には多くの魚の卵が産み付けられ、卵からかえった小魚はヨシ群落の中を餌場や隠れ家として育ちます。また、滋賀県には約280種の野鳥が観察されており、多くの野鳥が産卵・生育、そして棲みかとして利用しています。

「葦(ヨシ)群落」イメージ

水をきれいにする。

ヨシ群落には、”水をきれいにする”3つの働きがあります。

  • ①富栄養化の要因となる、水中の「窒素」や「リン」を養分として吸い取る。
     ※「富栄養化」…湖沼等の水中に溶けている窒素・リン等の栄養塩類が多い状態。富栄養化が進むと、植物プランクトン等の
      異常繁殖によって赤潮・アオコの発生に繋がります。
  • ②ヨシの水中の茎につく微生物や群落の土中の微生物によって水の汚れを分解。
  • ③水の流れを弱くし、水の汚れを堆積。

CO2吸収

植物の特徴である”光合成”を行い、二酸化炭素から炭水化物を合成し、大気中からCO2を除去しています。

※出典:図、テキストともに、公益財団法人 淡海環境保全財団ホームページ【ヨシってな~に】より

「ヨシ(葦)を植え、刈り、そしてまた植える。」

ヨシ再生の取り組み

滋賀県では、まとまって残っているヨシ群落を「ヨシ群落保全区域」と定め、許可・届出制度としてヨシ群落を守る仕組みをつくりました。また、ヨシが失われた場所では、積極的にヨシを植栽することで、ヨシ群落を再生させるとともに、ボランティアや企業と一緒にヨシ刈りやヨシ植えなどを行い、健全なヨシ群落を育てる活動も実施してきました。その結果、ヨシ群落の面積は、平成26年度に約183haにまで回復しました。

行政の取り組み

琵琶湖とその周りに広がるヨシ群落は、大切な湖国の原風景であり、魚や鳥のすみかになるなど、生態系の保全にも役立っています。しかし、1955年(昭和30年)に約260haあった湖岸のヨシ群落は、埋立てや湖岸整備などにより、1991年(平成3年)には半分以下の127haにまで減ってしまいました。大きく減った湖岸のヨシ群落を元に戻すために、滋賀県では、平成4年に「滋賀県琵琶湖のヨシ群落の保全に関する条例」を定め、失われたヨシ群落を再生する取り組みを実施してきました。