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開発秘話1 テーマは“とことんもったいない”。燃料資源の節約まで追究した究極のリサイクルシステムを!

開発担当者 株式会社伊藤園 開発部 佐藤崇紀

株式会社伊藤園 開発部 佐藤崇紀

開発部は、飲料や茶葉製品の処方・技術の開発を行う部署。任された研究開発とは・・・。

「入社した年(2000年)の5月に、開発部へ配属となりました。最初の課題は、どんどん生産量が増えていく『お~いお茶』の茶殻をリサイクルする方法です。それまでも、茶殻を肥料や飼料にリサイクルしていましたが、茶殻にはカテキンなどの有用成分が多く含まれています。そこで茶殻を身近な製品に有効活用するため、腐敗しやすい茶殻を乾燥して保存・輸送する方法を検討しました。茶殻を乾燥させることは確かに有効ですが、調べてみると茶殻10tの乾燥に約500ℓの灯油を使用し、それにともなう二酸化炭素排出量は約1.3t。これでは何のためのリサイクルなのか分かりませんし、コストもバカにならない。
“(茶殻が)もったいない”から始まった事業だからこそ、“とことんもったいない”レベルまで追究しようと。そのため、二次的な燃料を一切使わずに済む、水分を含んだままでリサイクルできる方法の開発に乗り出しました」

含水茶殻の保存・輸送技術を開発

「最初は、茶殻1kg単位で実験を始めました。茶殻の輸送形態や温度など、保存条件をいろいろ変えて・・・。試行錯誤の末、1kg単位で、含水のままの保存に成功。調子にのって、いきなり4t車での輸送に挑戦したのですが、翌日“佐藤さん、カビ生えてるよ!”と連絡がきまして。それからは慎重に実験を進め、2001年には保存方法を確立。季節ごとにテストを行ったので、結局、丸1年かかりました」

茶配合ボードを開発

「2001年の3月、茶殻を配合した木質繊維板“茶配合ボード”ができました。しかし、茶配合ボードを開発してもどうして良いか分からず、しばらくしてから会議で営業部長に提出すると・・・“こんなおもしろい素材、もっと早く教えなさい”と怒られました(笑)」

さらり畳を開発

「茶配合インシュレーションボードは、2002年9月にはエコマークを取得し、畳床に応用して12月に試験販売開始。畳の掃除に茶殻が使われていたことから、畳と茶殻は違和感のない組み合わせであり、第1弾にふさわしいと思いました。畳の専門商社である北一商店さんと共同開発し、何度も改良を重ね、2003年7月には“さらり畳”というブランド名で本格販売に至りました。
最初の製品なので思い入れが強く、みんなでさらり畳のことを“長男”と呼んでいます(笑)。茶殻リサイクルシステムで作る茶殻配合製品のテーマは“身近な製品”。家で使うものがすべて茶殻だったら? と想像しながら、いろいろ考えていきました」

開発秘話1 さらり畳の開発

茶配合樹脂を開発 

「樹脂ペレットの製造過程で含水の茶殻を配合した“茶配合樹脂”を開発。緑茶ポリフェノール、茶の香りなどの固定に成功しました。ところがその頃、世間ではまだ、環境に対する具体的な関心が現在ほど高くなく、一部の企業を除いてまったく注目されませんでしたが、“使いたい”と問い合わせてくださる企業が本当に増えまして、時代の移り変わりを感じます。今では、茶配合樹脂はお茶入りベンチ、お茶入りボールペン、お茶入り日用品など多くのプラスチック製品に使われています」

茶入り紙製品を開発

「紙は通常、木のチップから作られますが、そのほとんどが海外産の木材です。しかし、『お~いお茶』の茶殻なら、すべて国産100%。海外産の木材に比べて輸送燃料が少なく済むうえ、省資源にもつながります。茶殻配合印刷用紙は、伊藤園の事業報告書や名刺に採用し、名刺は2008年5月から伊藤園の全社員約5,000人が使い始めました」

茶配合建材を開発

「”茶殻を配合した畳があるなら、壁材もできるのでは?”という社内の声を受けて開発をスタートさせました。壁材というと石膏ボードが多く使われています。そこで、石膏ボードの大手メーカーであるチヨダウーテさんと共同で茶殻入りの石膏ボードの開発に着手しました。しかし、石膏ボードは”燃えない”建材として防火材料に使用されています。その石膏ボードに茶殻を配合すると”燃える建材”になってしまいます。そこで”茶殻を入れても燃えない”をテーマにチヨダウーテさんと何度も改良を重ね、2004年に”お茶入りせっこうボード”の開発に至りました」

「茶殻リサイクルシステムでは、世の中にあるさまざまな“身近な製品”に茶殻を配合しています。身近な製品を開発するためには、研究室にこもっているのではなくホームセンターなど商品が売られている現場から製造工場までを見て歩き、発想することが大切だと思っています。 また、茶殻リサイクルシステムでは、茶殻配合製品に携わっている異業種企業の方々との関係が必要です。異業種交流を通じて、さまざまなアイデアを出し合い、新製品開発を行っています。
大きなモチベーションは環境問題に役立つこと。小さなモチベーションとしては、茶殻配合製品を身近に感じること。
“茶殻=有価物”ということを知ってもらうためにも、みなさんが驚く製品を開発してまいります」

「茶殻リサイクルシステム」で、茶殻配合製品に携わる3つの企業をインタビュー

     

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