「全国的にみても、日本海を望む茶畑はとても珍しいと思います。海が近くに見えるけど、山間にあるので塩害はないんですよ」
佐々木玲慈さんは、『有限会社ふれあい総合農場しまね』の代表。玲慈さんをはじめとする佐々木一家が営む『ふれあい総合農場しまね(扇原茶園)』は、総面積約7haと、個人農場としては島根県一の広さだ。
そんな『ふれあい総合農場しまね』の礎を築いたのは、玲慈さんの父親、佐々木正人さんだ。

『ふれあい総合農場しまね』代表・佐々木玲慈さん。
「戦後、市の奨励もあって、浜田市にはお茶農家がいっきに増えたそうです。しかし、お茶の樹は、成木に育って収益を得られるようになるまで年数がかかるとあって、1軒、2軒と辞めていきました。そんな中、私の父は絶対に諦めず、“睡眠時間は人の半分で充分”という気概で、請負耕作や林業などで収入を得つつ、心血を注ぎこむように開墾していったんです。現在は約7haにまで増えています」
しかし、そこにたどり着くまでは、決して楽な道ではなかったようだ。
「島根茶には主要な茶産地のようなブランド力が無いので、県外での販売も難しく、県内でも年々販売量が減少していました。なかなか経営が安定しませんでしたね」
そんな中、伊藤園との緑茶飲料原料の契約栽培が始まったのは、1998年のこと。
「お付き合いのきっかけは、知り合いの作家の先生がたまたま伊藤園に取材をされたことがあって、そのつながりで“島根に茶農家があって、とても苦労している”という話を仕入部にしてくださったこと。人とのつながりには本当に感謝しています」

島根県一の広さを誇る美しい茶畑。

入口に立つ『ふれあい総合農場しまね』の看板。

玲慈さんの父、正人さん。
