主な茶産地の紹介

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【新産地事業】大分県杵築地区 農事組合法人 カヤノ農産

異業種が茶づくりに参戦。建設業ならではの合理的な茶園づくり。

行政-伊藤園-建設業がタッグを組んた茶産地拡大計画

大分県農林水産研究センター 農業研究部 竹中和男さん

産地拡大を担当していた、大分県農林水産研究センター 農業研究部 竹中和男さん。初収穫を待つばかりの畑を前にして満面の笑顔。

大分県といえば、九州の他県にもれず、耕作放棄地の増加が問題になっていました。そこで県は、伊藤園と共同で茶産地の拡大を計画し、2005年から10か年にわたる農業振興計画「おおいた農山漁村活性化戦略2005」に盛り込みました。

しかし、収穫した茶葉の売り先を確保しなければならない。茶産地を拡大すると同時に、流通ルートの拡大という課題が浮上しました。そこで、2006年に、伊藤園と“契約産地づくり協定”を結んだのです。その内容とは、当時の県全体の茶産地345haを500haにまで増やす計画のうち100haを、伊藤園の飲料原料向けに作るというものです。

伊藤園からの提案は、オール機械化の大規模茶園でしたが、既存の茶農家といえば、規模の小さな家族経営が大半。そこで目をつけたのが建設業でした。茶業の繁忙期である春先から夏場にかけてが、建設業の閑散期であることを知っていましたので、建設業と茶業の二毛作は物理的に可能だと思いました。そして、茶園経営に関しての肝心のノウハウは伊藤園がもっている。これはいけると思いました。

ここで抜擢されたのが『昭和建設工業』。本業は建設業です。県の農業を活性化させたい“行政”、ノウハウを提供し、安定した茶葉を確保したい“伊藤園”、そして、閑散期の収入・雇用を確保したい“建設業”、三者のチームが出来上がり、2006年に『農事組合法人 カヤノ農産』が設立されました。

少人数・低コストのモデルケース

カヤノ農産 副組合長 河野杉雄さん

カヤノ農産 副組合長 河野杉雄さん。20ha近い茶園を前に、「普段の管理は6人で十分です。」

私の実家が茶農家で、茶栽培における最大の“コスト”が何であるかを知っていましたので、茶園造成から初摘採まで順調にいきました。

茶栽培における最大の敵とは雑草です。特に、きちんとした成木に育ち切るまでの最初の5年は、どこの茶農家でも、雑草をいかに素早く除去するかが勝負です。もっとも人手が割かれる工程といっても過言ではありません。雑草の除去、いわゆる“草取り”にかかる膨大な手間を省きたい。そのために「雑草を生やさないこと」を提案しました。その提案のひとつが“天地返し”。表層部の土と深層部の土を入れ替える作業で、重機を使って地下 1~1.5m の土を掘り起こし、雑草の種や宿根(しゅっこん)が入り込んでいない、深層部の土を表面に持っていきました。さらに、苗を植えた後の畝(うね)と畝の間に、木のチップをみっちりと敷き詰め、雑草が育たないようにしました。ちなみにこのチップは、本業の建設業で出る、焼却処理を待つだけの木片をリサイクル。肥料は、漫然と“撒く”のではなく、苗木の近くにピンポイントで穴を掘り、そこに埋めていきました。すると、少量で済んでしまい、用意した肥料は余ってしまいました。堆肥は使いませんでしたね。堆肥には、外来種の植物の種や根が入り込んでいる可能性があるからです。

※写真は2009年撮影

カヤノ農産 副組合長 河野杉雄さん

無事収穫を終え、笑顔の河野杉雄さんと従業員の三原和充さん。

『カヤノ農産』の茶園は、2006年に植えた2haから徐々に拡大し、いまや見渡す限り茶園と言っても過言ではないくらいの広さになっています。始めに植えた茶樹たちは、順調に成長して2010年に無事摘採を迎えました。植栽から初摘採までたったの4年間でしたが、正直、長かったなぁと思います。小さな幼木が大きな成木まで成長して摘み採られていく過程をみて、「あぁ大きくなったな」と子どもを育てる親のような感想を言っている従業員もいました。こうやって育った茶葉は、今はまだ伊藤園の緑茶飲料の数滴でしかないと思いますが、これからも質の良い茶葉をたくさん納品していきたいですね。

※インタビュー記事、および写真は2012年時点のものです。

産地情報

所在地

大分県杵築市

農家名

農事組合法人 カヤノ農産

  • 茶園風景(2009年)のパノラマ
  • 茶園風景(2012年)のパノラマ
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