主な研究成果

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平成19年

2007年9月27日

茹でて搾ったにんじん飲料の飲用は、炒め調理などしたにんじんを摂取する場合に比べ、
β-カロテンの吸収性が高いことを確認

日本食品科学工学会第54回大会(9月8日)で発表

株式会社伊藤園(社長:本庄八郎 本社:東京都渋谷区)の中央研究所は、京都女子大学家政学部の橘髙(旧姓:桂)博美講師との共同研究で、にんじんに多く含まれているβ-カロテンが、油を含む食事と同時に摂取した場合(※1)、炒め調理や茹で調理したにんじんよりも、茹でて搾ったにんじん飲料を飲用して摂取した方が、体内への吸収性が高いことを確認しました。この結果の詳細を、9月8日(土)に中村学園大学(福岡県福岡市)で開催された、日本食品科学工学会第54回大会で発表しました。この結果から、油を含む食事とともに、茹でて搾ったにんじん飲料を飲用することで、効率的にβ-カロテンを吸収できることが期待されます。

※1・・ 油を含む食事を同時に摂取しているのは、にんじん試料の1つに油を使い炒め調理したものが含まれており、油とともに摂取するという条件で試料間を統一するためです。

≪ 経緯 ≫
β-カロテンは緑黄色野菜に多く含まれるカロテノイドの一種で、特ににんじんに多く含まれています。このβ-カロテンは、体内に入ると小腸から吸収され、必要な分だけビタミンAに変化しますので、皮膚や粘膜の健康維持などビタミンAとしての効果が期待できます。さらに、余剰分もβ-カロテンの状態で吸収されることにより、カロテノイドの抗酸化作用などの有益な生理作用も期待できます。
昨年、当社中央研究所では、油を含む食事とともに摂取する条件で、生のにんじんと茹で調理したにんじんを摂取することによるβ-カロテンの吸収性を比較し、茹で調理したにんじんで吸収性が上昇することを確認しました。今回は、茹でて搾ったにんじん飲料の飲用が、炒め調理や茹で調理したにんじんを摂取する場合と比較して、β-カロテンの吸収性がどのように異なるかを検証しました。

≪ 研究内容 ≫
21~24歳の健常な女性15名を対象とし、3群(炒め調理したにんじん、茹で調理したにんじん、茹でて搾ったにんじん飲料)のクロスオーバー方式(※2)で試験を行いました。実験において摂取したにんじんは、宮崎県産のβ-カロテンを高含有する品種(2007年3月産)とし、摂取β-カロテン量は、炒め調理(24.2mg/食)、茹で調理(25.0mg/食)、茹でて搾った飲料(25.2mg/食)でほぼ同一にしました。
試験当日、朝食としてショートニング付きのパン(油を含む食事)とともに、にんじん試料(炒め調理、茹で調理、茹でて搾った飲料)のいずれか1つを摂取させました。そのうえで採血を食前および食後2、4、6時間に行い、血清中β-カロテン量を測定しました。1週間後、別のにんじん試料で同様に試験を行い、計3回実施しました。

※2・・ 一定期間後にそれぞれの群の対象物を交換する方式

≪ 結果 ≫
血清中β-カロテン濃度は、全ての群において、にんじん試料摂取前と比較して4時間後に有意な上昇が認められました。また、茹でて搾った飲料を摂取した場合、飲用前から飲用後4時間までの血清中β-カロテン値上昇率は、炒め調理や茹で調理より大きいことがわかりました(下図参照)。茹でて搾った飲料は、工業的にブランチング(茹でること)と微粉砕化を行っているため、通常の炒め調理や茹で調理に比べβ-カロテンの吸収性を上昇させることが推察されました。

以上の結果から、油を含む食事とともに、茹でて搾ったにんじん飲料を飲用することで、効率的にβ-カロテンを吸収できることが期待されます。

《 図 》にんじん試料別の血清中β-カロテン値変化率推移

にんじん試料別の血清中β-カロテン値変化率推移

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